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#03 大雪の日の夢のハナシ
夢を見た。
普段はあまり夢を見ない。見ているかもしれないけど全く覚えていない。
でも、カラダはもう十分に睡眠を得たのに、布団に包まれている心地よさを満喫するためだけに寝続けているような「無駄な寝坊」をしている時は奇妙な夢を見る。
連日の大雪がやっとひと段落し「明日の朝は早く起きて除雪作業をしなくても大丈夫!」と久しぶりに心置きなく爆睡していたはずのワタシは、パジャマの上から防寒具を着込んでいそいそと除雪作業をしていた。
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屋根から落ちた雪が我が家の一階部分をすっかり囲っている。そこへブレード型のホイールローダーがどこからともなく現れ、高さ3メートルほどになった雪山をガガガっと勢いよく除雪してくれる。「おお!ありがたい!!」と見上げると、嬉々として除雪車を操縦していたのはワタシだった。
「ふふふ」っと笑う自分の声に少しだけ覚醒しながらも、意識の半分以上はまだ惰眠を貪っている。
除雪車に乗るワタシを見ているワタシ。
その夢の中の光景を睡眠の中で見ているワタシ。
夢を夢と認識しながら寝ているワタシに気づいているワタシ。
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夢を見ていることに気づいている状態を
「自覚的夢・ルシッド・ドリーム」
と夢研究の分野では言われているらしいが、今回のオールキャスト自分な、トリプルドッペルゲンガーみたいな、自分マトリョーシカみたいな状態を的確に表せる言葉を探してみたけど見つからなかった。
各々の登場人物が全部自分なんだけど、複数の視点があるという状態。自意識の多層化とでも言いましょうか。無理やり漢字に置き換えてみると「一人称多視点自己夢」と仰々しくなってしまいました。
夢は睡眠中に脳が生み出す視覚・聴覚・感覚を伴う体験。記憶や感情、無意識が複雑に絡み合った脳の働きの産物らしい。その内容は科学的にも心理学的にも仏教的にも諸説色々あって、非常に興味深い分野ではあるが、深入りすると睡眠そのものに悪い影響を与えそうだ。
今回の夢で一つ明らかなのは、除雪車に乗っているワタシをみているワタシ全員が
「すっげーーワタシ!!」
と歓喜の舞を踊るかのように手放しでワタシを大絶賛していることだ。
ただ単に大雪をどうにかしたいってだけの強い願望からの夢かもしれないが、なんだかとてもシアワセな気持ちになった。