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クマが出るのでウォーキングができません。

「特定保健指導対象者となっていますのでご都合の良い日時をお知らせください」

社内健康管理センターの保健師さんからとても丁寧なメールが届いてしまった。

え、なんかやらかしたかワタシ?
9月に年に一度の健康診断を渋々受けた結果が『特定』されてしまったのだ。
嫌だな、怒られちゃうのかな。あっちもこっちもダメって言われたらどうしよう・・・。

そんな不安を吹き飛ばすかのような、素敵スマイルで迎えてくださった保健師さん。ワタシの検診結果を見ながら

「うんうん、あのね。変わらないことはとても良いことなんです。変わってないのね。全然。去年と全くおんなじなの。全く同じ。悪い方に変わったわけじゃないから全然良いんだけどね。キープしてる、それも大事だから。でも確か去年も申し上げたと思うのだけど、覚えていらっしゃるかしら? ね。ここの数値。ここ。そう、少し気をつけましょうってお話ししましたね。うん、そうね。お住まいの地域は確かお米がとても美味しいのよね。日本酒なんかも有名ですよね。え、葡萄も美味しいのね。あ、じゃあワイン派? あ、どっちも? なんでも? そっかぁ。そうね、そもそも食べ物がとても美味しい地域よね。うんうん。楽しんでるのよね。必要よね。わかりますわかります。節制し過ぎてね、それがストレスになってもダメだからね。じゃあ、ほんの少し、ちょっとだけ気にする。そして楽しむってのはどうかしら。できそうかしら。ほら、楽しみって別に毎日でなくても良いじゃない? 週末とかにゆっくり楽しむって考え方ね。どうかしら。」

数値とは冷酷無比、残酷なものである。どこにも逃げ場を許さないような検診結果を見ながら、まるで幼稚園児を諭すかのような柔らかい声で、笑顔を崩さずにじわじわと核心をついてくる。口調は穏やかなのに攻撃力は高い。殺傷性は低いが圧がハンパない見事な技『温情酌量の術』。そしてかなりの手練れと見た。

さらに非常にまずいことに1年前に「日常生活に軽めの運動を取り入れたい」とつい調子に乗って話したこともしっかりと記録に残っていた。

「クマが出るのでウォーキングができません」

改めて口にすると子どもじみた嘘くさい言い訳にしか聞こえない。

「妹がプリントを破いてしまいました」
「ノートは登校途中で川に落としてしまいました」
小学生が宿題を忘れた時によく使う手口(笑)に似ている。

”The cat ate my gym suit "(うちの猫が体操着を食べた)

体育の授業をサボる口実を次から次へと作っていく女の子の話がそういえばありました。懐かしいな、もう一度読んでみようか。
いやいや、まずはステッパーを買う、が正解かも。

そんなことをぐるぐる思ったオンライン面談でした。

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