【詩」マンホールの蓋があいてるよ
マンホールの蓋があいていた
つまり道の真ん中に綺麗な穴があいている
住宅街の道路に、ぽっかりと ぽっつりと
「…………」
覗いてみた
見えたのは闇だった
先の見えない深淵だった
なんかこわい
音なんてないが、もし聞こえるのなら
ご ご ご というのが、ふさわしいほどには、何かいそうだ
……何かいるのか?
よく見れば、赤い丸が2つ、闇で光っている
ビー玉のような球体がギラギラと眼のように
あれはなに?
もう少し、覗けばいけるか?
幸いにも僕は潔癖症ではない
もう少し顔を、奥へ奥へ
もう少し体を、奥へ奥へ
覗けば覗くほど、鮮明になり
赤の正体も鮮明になる
これは……ビー玉だ
比喩ではなく、本当にただの赤いビー玉が2つ、転がっていただけだった
お化けの正体暴いたり
しかしまぁ、現実とはこういうものだ
変な姿勢で首を酷使した
ごきごきと首を鳴らしながら、上を向く
「…………え、」
そこに太陽はなかった
上を向いても下を向いても闇
漆黒の空間
この闇は見慣れている
先ほどまで、ずっと覗いていたのだから
しかしそうなると僕は、
「無意識に穴に降りたのか……?」
動揺するなか、横を振り向けば
赤い瞳がそこにあった