スズメ、危機を脱出
朝の散歩の途中、偶然空を見上げると、三羽のカラスに囲まれたスズメを見つけた。
三方にポジションをとったカラス。
視線の先は一羽のスズメにあるように見えた。
スズメの様子を見ていると、じっとしていて動かない。
そりゃ、そうでしょう。
あなたが飛び立つ瞬間に、一斉にあなたを捕らえるはずだから。
周辺も見渡すと、他に鳥はいない。
三羽のカラスと一羽のスズメだけの空間が出来ていた。
獲物を狙うとき、野生動物は獲物をまずは孤立化させる。
孤立化させて、仕留める。
カラスは私の存在に気がついているはず。
きっとスズメも私を見ているはず。
そして、どうやってこの危機を脱出できるか考えているはず。
私は立ち止まり、ストレッチをしている振りをして目線を離さない。
「助けられるものなら、助けてあげるからね。」
そう心で伝える。
まもなくしてスズメが鳴き始めた。
そうそう、その調子。
私が出来ることは、監視していることをカラスに見せるだけ。
しばらくの間、にらみ合いが続いた。
とその時、カラスのリーダー(無敵の又次郎)が諦めて飛び立った。
残るは2羽。
程なくして残りの2羽(ガー吉とカー助)が飛び立ち、と同時にスズメのチュンも、カラスとは真逆の方向に飛び立った。
助かった。生き延びることが出来た。
そうやって、危機を乗り越えるんだよ。
しっかり生きるんだ。
自宅に戻り、ゆったりした気分になると、ふと脳裏に欲が浮かんだ。
昔話の「スズメのお宿」にあるように、なにか御礼がいただけるのか。
欲にまみれた私の脳裏に一つのお願い事が浮かんだ。
「あの~。よろしければ良い就職先のご縁を一つ。」
神様にお叱りを受けそうだけど、何か御利益を。
そう願う私は、まだまだ「はな垂れ小僧」