地球がトイレ
14年前、ガーナに医療活動をしたくてスペイン人の女医さんと、私の二人でインターンシップを使い、ガーナに乗り込んだ。
スペイン人の女医さんとは、アイルランドの語学学校で一緒になった。
たった二週間、彼女と同じクラスになり、意気投合。やりたいことが一致した。
NGOでもなく、JICAでもなく、ただ、ガーナ人が経営しているインターンシップを利用して、ガーナにホームステイして、病院で働かせてもらう・・・という企画。
今考えると、怪しさ満載だった。
でも、私もスペイン人の女医さんもやる気満々でガーナに乗り込んだ。
イギリスの空港で待ち合わせをして、一晩、空港で泊まり
ガーナ行きの飛行機に乗り込んだ。
プロペラ機のような小さな飛行機。
ガソリンなのか?あれは、ガソリンなのか?
自分の目を疑いながら、バケツリレーの様に
ペットボトルに入った色付きの液体を飛行機に詰め込んでいる
作業を見つめて、
「どうか、飛行機が無事にガーナに到着しますように。アーメン。」
とクリスチャンでもないけど、祈った。
6時間半ほどの飛行機の旅は無事何事もなく到着した。
ホームステイでガーナ人宅に1ヶ月お世話になった。
首都アクラのホームステイ先。
ガーナ人の中でもお金があるお家だった。
冷蔵庫やテレビがあった。トイレもシャワー(水)も
家の中にあった。
洗濯機や冷房などはなかったが、かなり裕福な家庭だと感じた。
その家の主のキーホルダーは「金が全てだ」
と分かりやすい思考の持ち主だった。
お手伝いに2人。20代の男性がいた。
彼らが私たちに色々教えてくれた。
勤務先の病院は見つかっていないこと、自分たちで探して欲しいこと
ホームステイ代はまだ貰ってないから、支払うように言われた。
いや、既にアイルランドで支払いは済ませてきた・・・
と伝えても通用せず、スペイン人の女医さんと私とガーナ人との
喧嘩が毎日始まった。
ガーナ人は凄い。
怒鳴り合いの喧嘩をした直後、私がトイレに行って戻ってきたら
何事もなかったように
「Hi,How are you?? Are you happy?? 」
と聞いてくる。ハッピーな訳ないだろう。と思うが、
いつまで同じ気持ちでいても仕方がないので、Happyになろうと努力している
と伝える。
そんな毎日を見兼ねてか、お手伝いの一人Markが自分の実家に行かないか?
と誘い出してくれた。
首都を抜けてバスに乗り継いで、8時間ほどかけて行ったところだった。
何もない村。それが良かった。
村人たちは、珍しいアジア人にスペイン人が来たと大盛り上がり!
部屋に何度も入れ替わり立ち替わり覗きにきた。
ガーナのお餅とでも言うのか?フーフー(フフ)を杵で作ったり、
村人の一人として楽しんだ時間だった。
私と女医さんはトイレを探した。
学校に一つあったと思う・・・
と、お手伝いのMarkが学校まで連れて行ってくれた。
学校の端に掘建小屋のような小さな建物があった。
ドアを開けると、虫がザザザーと動いた。
うぅ・・・。ちょっと無理かも。と思った瞬間
女医さんは
「私、地球のトイレに行ってくる」
と出ていった。
和式のトイレ自体も木で蓋がしてあった。
そっと開けてみると中から、とんでもない数の蝿が音を立てて出てきた。
無理無理無理無理。流石に無理!!!
数々の旅をしてきた私だし、アフリカも初めてではなかったけど、
虫が這い上がってくるトイレにはできない。
映画「グリーンマイル」の黒人が口から吐き出す
虫を思い出したくらいだ。
「地球がトイレ」
は正しい。私もヤギの隣に隠れて失礼させていただいた。
よっぽど、こっちの方が清潔にできる。
夜になると真っ暗だった。
万年停電している村。
一瞬だけ、電気がついた時、村の子供たちは
「いえぇぇぇぇい」と踊り狂った。
そして、すぐに停電し、テンションが下がっていた。
そんな村にも、バーがあって、夜は遊びに行ってみた。
冷えていないコーラがご馳走だった。
一人の男性が、私が杵でガーナの餅をついている姿に惚れたと
一生懸命口説いてくれた。
嫁に来てくれたらヤギをあげる。
家をあげる。
子どもをたくさん作って楽しい家庭を作ろう!!
と言っていた。
最後に、仕方がない、
僕のバナナをあげよう!!
と言っていて、盛り上がっていた。
現実にガーナにはバナナがたくさん実っていた。
「バナナは好きだよ」と答えた。
その話を日本に帰っていたら、完全に下ネタやん。と教えられた。
あの時、私はニコニコ聞いて回答したことを後悔したのは半年後だ。
男性の下ネタは万国共通だった。
ガーナで地球がトイレになって以来、私は旅先で
地球がトイレになるハードルが下がった。
ウズベキスタンのアラル海周辺のキャンプでは、トイレなどなかったので
草むらがトイレになったし、ミャンマーでもバスが壊れて何時間も
待った時も地球がトイレになった。
いざとなったら、人は何でもどこでもできる。ということを学んだ。
いつも受け止めてくれる地球に感謝している。
最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでも面白かったなぁ、こんな経験している奴いるんだなぁ
と思ったらイイねいただけると、喜びます。そして、また、
ネタを披露させていただきます。
サポートありがとうございます!こちらは今困っている世界の片隅の人たちに使われるよう寄付していきます。