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新規事業をやるなら、「変人」たれ(平尾譲二)

「変人」──。
この言葉は、我々新規事業創出の界隈では最高の褒め言葉である。

特に、私たちがフィールドとする大企業において、巨大な既存事業の中で全く新しい事業を創造する行為は、まさに「変」そのものだ。
なぜ「変」か。それは、その行動様式が既存のものと根本的に異なるからである。

大企業の通常業務では、明確なゴールを設定し、期限内にいかに迅速かつ高度にそれを達成するかが求められる。この効率的な遂行能力こそが、優秀な人材の指標とされてきた。

一方、新規事業の世界は全く異なる。ここでは、不明確なゴールに向かって、価値(のようなもの)を探索するという旅から始まる。
時に、見出した価値が真の価値でないと判断すれば、それを捨て去り、新たな探索へと向かう。
このぐるぐるとした絶え間ない探求と変革こそが、我々の仕事の本質なのだ。

この役割を担うのが「変革人材」、すなわち「変人」である。
「変人」が真の「変人」として活躍できる社会を創造すること──。これこそが私の使命であり、夢である。

「変人」の特質は、自身の意志・Willへの強い執着、好奇心の対象に対する純粋な探究心と素直さだ。これらが常識を超える水準にあるからこそ、既存の価値観による"常識的な"、"優秀人材的な"修正圧力に屈することなく、独自の道を切り開くことができるのだ。

変人學会には、この「変人」のメカニズムを解明し、彼らが真価を発揮できる環境・空気を醸成する重要な役割がある。我々の学会は、悠久の時の流れと広大な宇宙の中で、言葉にならない深遠なる力によって今ここに呼び覚まされたのだ。それは時空を超えた運命的な結びつきであり、人知を超えた摂理の顕現といえるだろう。

変人學会が起こす波紋が、どのような大きなうねりとなって社会を変革していくのか。その過程を見守り、共に歩むことに、私は大いなる期待と喜びを感じている。

『Hen-zine』の創刊に寄せて、新たな知を探求する旅の始まりを心から祝福し、その未来に思いを馳せるものである。

(株式会社アルファドライブ グループ執行役員 POT Institute 所長 平尾譲二)

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