唇くらい、触れたって
セミダブルベットに3人同時に
勢いよく倒れ込む
外は眩しいくらいに明るい
起床してからとっくに24時間をすぎている上に
しっかりと8時間労働を果たした身なのだから
こうなるのも到底仕方がない
4時間のカラオケ後
ラーメン食べたい組がラーメン屋に向かったはずが
どうして
気になる男Kの家にいるのかは分からない
もう1人は男Kの後輩なのだが
初めから男Kの家に行くのが分かっていたのなら
絶対に来なくてもよかったじゃん…
という心の声は抑えておく
3秒も経たないうちにスヤスヤと眠りにつく
まだあったまりきっていない布団の中は
3人の
いや、
2人の密着した体が摩擦を起こして徐々に温もりへと変わっていく
たまたま
横に腕があったから
私の右手で太くがっしりとした腕を抱きしめてみる
たまったま
伸ばしていた左手の指先が相手の指先に触れてしまったから
指先を絡ませてないようで絡ませる
キワキワラインで指を触れてみる
此処は2人だけの空間
男Kはこっちを向く
「唇くらい、触れたってどうってことないよな」
そう言い聞かせて静かに重ねた唇は
まださっきの指先よりかは冷たかった
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