
予定帝王切開レポ③(@国立成育医療研究センター)
手術台に横になると、されるがままという言葉がピッタリな状態だった。
下半身は見えないよう布で覆われ、左腕は点滴が打たれる。採血をする時など、針が自分の腕にささるのを見るタイプなので点滴の針も同じように見届けた。採血や予防接種よりも針がごつい。
横向きで寝るように言われ、背中から下半身用の麻酔をいれられる。
背中をエビのように丸めるということは予習済みだったのと、ヨガで柔軟をしていた成果なのか、麻酔の先生にいい感じですよ!と褒められた。
背中に注射されてるとわかる程度に痛いがこれは耐えられる。どちらかというと、何かが入れられている感覚が急に怖くなり息苦しかった。
麻酔の準備が終わると、効き具合をチェックされる。
アルコールを含ませた脱脂綿を、麻酔が効いている部分と効いていない部分に当てて、温度差を感じるかどうかを答える。これがめちゃくちゃ難しい。
緊張しているせいか、麻酔が効いていない部分に当ててもそこまで冷たいと思わない。
確証がないのにGOサインは出せないと必死になった挙句、最後は麻酔が効いている部分も冷たく感じプチパニックになった(笑)。
そんな私に、大丈夫ですよ〜と優しく声をかけてくれる先生たち。
いつのまにかお腹は切られており、時々押されている感覚があった。もちろん痛くはない。「もうすぐ産まれますよ」と笑顔で看護師が教えてくれる。
時計をみると麻酔をしてから10分程度しか経っていなかった気がする。
「え、もうですか!早いですね!」と話をする余裕があった。
そして「はい、出ますよ〜出ました〜」的な声とともに、小さくかすかにモゾモゾと動く子が運ばれてきた。おめでとうございますと声をかけられ、いつのまにか待機されていた新生児科の先生が子の処置を始める。
なんの前兆もなく外の世界へデビューをした我が子は、うまく呼吸ができなかった。産声ではなく機械的な「ピッ、ピッ」という音が聞こえる違和感を理解するのに少し時間がかかったが、新生児科の先生が状況を説明しながら処置をしてくださったので安心できた。
体は動かせないので、できる限り顔を横に向けて様子を見守る。
少し遅れて、ぎゃあと泣いている声が響いた。よかった、産声が聞こえた。
カンガルーケアもできて、胸の上にしわしわな小さな小さな我が子をのせてくれた。
おお、これがそうか。
長い間お腹をにいたのは君だったのね。
ずっとずっと気になっていた人と、ようやく会うことができた。