中絶する。
こんにちは。お魚です。
今日はいつもと違うけどどうしても今の心境を残したくて書くことにしました。
少し性についての話を含みますので苦手な方はご了承くださいm(_ _)m
12月 原因と不安
ある日恋人と行為をした。もちろん避妊して行ったのだが、ゴムが破れてしまった。その60時間後アフターピルを服用して一安心していた。
そして年末になり、生理が予定日になってもこないことに気がつく。来ない期間が長くなるにつれて、不安も増していく。いつもは楽しいはずの年末だが今年はひとり、不穏だった。
1/3 発覚
不安が積もり、ついに妊娠検査薬を使用した。するとそれはすぐに陽性を示した。
まさかと思った。
まさか自分が。
避妊していたのに?
悔しい、憎い、悲しい。
それからすぐに恋人に電話して思わず涙が溢れてしまった。
私は案外すぐ中絶の選択をした。
学生だし財力がない。
今の彼と結婚するか分からない。
どうせ産むなら幸せに育てられる環境を整えてあげたい。
そして怖かった。まだ準備ができていなかった。
これが本音だ。
赤ちゃんや世間からしたら、無責任だと思われるのかな。
1/4 選択
目覚めは最悪だった。中絶の夢を見た。
自分のなかではどうしても中絶に対して罪の意識がある。1人でいるとずっと考えてしまう。
実家暮らしだが、親には絶対話せない。
我が子に無限の愛を注いであげたかった。
世間では不穏な事件があるものの、
私は我が子にしっかり愛情を注げるくらい成熟していると思う。
私は人生辛いこともあるけどなんて素晴らしいんだと思えるタイプなので、
我が子にその苦楽をも経験させてあげる機会を
親が奪ってしまっているのは悔しくて仕方がない。
でもやはり産めない。無責任だ。一生この罪を背負って生きていこう。
この日、「セイントフランシス」という中絶関連の映画を観た。
そこで中絶をした主人公に対して「中絶は酷いと思わない」と言ってくれた人がいた。
それまで中絶に対してあまり感情をあらわにしていなかった主人公が突然泣き出した。
私も一緒に大泣きした。
世間での風当たりは冷たいが誰かに認められたかったんだ。
1/5 後悔
中絶して処刑される夢を見た。
この日生理予定日から1週間ということで再度検査薬で検査をしてみた。
やはり陽性。
彼に会ったが彼にあたってしまう。
今まで大好きだったのに、最近では憎しみが上回っていた。
もし彼と付き合っていなかったら
ゴムが正しく装着されていれば
あのときもっとピルを早く飲めていれば
過去への後悔ばかりで、
どうしても男女というものは、
とくにこの妊娠・出産という問題は
理解し合うのはほぼ不可能だと思う。
彼の見当違いの慰めにイライラしてしまい
また涙する。
1/6 見つけた答え
ずっと四六時中考えた。
ほんとに中絶していいのか。
産んだほうがいいのか。
世間になんと言われようと、人殺しと言われようと
そんなことは本人が1番分かっている。
私みたいに避妊をして妊娠してしまっても
人殺しなの?
でもやっぱりそれはその人の意見。
そして私の意見は我が子の分まで精一杯生きて、
幸せになること。
これが私が導いた答え。
毎日考えて泣いて悩んで最終的に出した答え。
都合よく正当化しているだけかもね。
でもね、これでいいの。私はこれを信じて生きるの。
絶対に産まれたら可愛くて良い子だと思うけど、そんな我が子はきっと
私の選択を応援してくれるかな。
1/7 確信
産婦人科へ行く。まだ5週目だが赤ちゃんの姿をエコーでみた。
どんどん中絶が具体的なものになってきた。
話を聞いたあと、彼と会ったが
心が虚無だった。でも私は前を向くしかないの。
幸せに生きると決めたの。それが私ができる償いだから。
1/8 命の尊さ
この日辺りから泣く日が減ってきた。
今まで自分は幸せになる資格がないと思って音楽を聴くことすら
後ろめたさを感じていたが、聴けるようになってきた。
中絶を決意して、我が子は私に命の尊さを教えてくれた。
産んであげられなくて本当にごめんなさい。
でも私はあなたの分まで2倍人生を大切に幸せに生きるよ。
1/9 死について
生とか死について考えるのは昔から好きだったんだけど、さらに興味が湧いてきて
重松清の「その日のまえに」という本を読み出した。
死を迎えたものたちの短編である。
そのなかでお気に入りのセリフがある。
「終わってないから。まだ。いろんなことがおわっても、1番大事なことはまだ終わってない。わかる?だから、間違っても、間違っても、やり直せる。あんたたちはまだやり直せるから。」
まるで私に言われているかのような気持ちだった。
私がしてしまったことは事故とはいえ過ちである。
でも生きている限り、それは償えるし前を向くことができる。
1/11 愛する・大切にする
公園の前を通る。子供たちが親と楽しそうに遊んでいる。
愛されているなあ。
私もこんなふうに愛されて育ったのだなあ。
私も我が子に愛をあげたかったなあ。
なんて考えて思わず涙が出る。
命の尊さを感じる。
今回のことで妊娠について初めて考えた。
妊娠するとつわりが起きて最悪の場合、母体が亡くなるだとか、入院が必要になる、重すぎて中絶することもあるようだ。
そんな想いをしてまで私たちって産んでもらったんだな。
親のありがたみがひしひしと伝わる。
身近な人は大切にしなければ。
母の日とか父の日とか今までそれなりにご飯作ったりお花あげたりしてたけど、感謝の意識はそれほどではなかったと思う。
彼も含めて私の好きな人たちを大切にして生きよう。
1/12 人に優しく
悲しみは比べられない。
私はこれが自分の人生の中で1番悲しい経験だ。
友達と遊んでいて、友達は彼に浮気をされたらしい。
悲しみってどっちが悲しいとかないし、
どっちが大変とかない。その人にとってそれが最悪で傷ついているのって比べられない。
そのことに気づけたから、私は人の傷みが分かる人間でありたい。
また、我が子を傷つけてしまった分、私は人に優しく生きようと決心した。それも償いだと思う。
整然と、綺麗事を言っているような文かもしれない。
ただ人によって出す答えは違うし、
産むのも中絶するのもどちらもとても「強い」選択で。
中絶を人殺しという人も私は悲しいけど尊重する。その人がそう考えるバックグラウンドとか分からないから。
公園でランニングをしている人を見て思った。
この人もきっと何かを決意してランニングをしているのだ。
人は何かを思って、何かしらの行動している。
そこにはたいていなんらかの意味があるし、側から見たら分からないけど、
私はそれってすごく美しいことだと思う。
だからそれを否定しちゃいけない。
その人にはその人の答えがあるから。
我が子は私をさらに強く優しい人間にしてくれた。ありがとう。ずっと愛しているよ。
追記 1/18 中絶
中絶した。
すぐだった。
全く手術中痛みはなかった。
終わった後は重い生理痛のような感じ。
久しぶりの手術で改めてお医者様、看護師様のすごさを実感した。
おかげですぐだったが、
我が儘なことにすぐ終わったのがなんか虚しい。
私の性格では一度決めた選択には後悔しないので、
終わった今「産まなければ良かった」とは全く思わない。
それよりも終わってホッとしたのが本音だ。
我が子はしっかりお寺で水子供養する。
今は前を見て生きるのみだ。
私が術後休憩室で休んでいる間に、2人の患者さんが中絶を行っていた。
それくらいのペースで淡々と手術は行われている。
これが現実だった。
表には出さなくても、人はみんなそれぞれ抱えている事情があって。
時には自分を責めてしまったり、誰かを憎んだりしてしまう時もあるかもしれないが、
私はそんな自分を愛してあげたい。
そしてそんなひとがいたら1人じゃないよと伝えたい。