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平和なある日の、小さなできごと
ある日仕事が終わっての帰路の途中。
人気のないバス停で、スマホ片手にバスを待っていた時のこと。
「ねぇねぇ、ちょっとこれ見て?」
背後から突然、声を掛けられました。
人がいたのは気が付いていたけど、まさか声を掛けられるとは思わず、内心ビクっとして振り向くと、そこには、まったくもって存じ上げない、年配のお姉さまがいらっしゃる。
仮にも接客業の一種として、毎日多数の患者さんと接しているので
『覚えてないけど、患者さんかな?』
と考えたけれど、どうも違う様子。
『変な人?それとも宗教の勧誘か何か?』
警戒心を持っては見たものの、あちらはまったく気にする様子もなく、携帯電話(スマホじゃない)を差し出してきました。
そこに表示されていたのは
<<10万歩、おめでとうございます!!>>
の文字。
『え?は?何???』
瞬間、頭が真っ白になりました。
すっかり怖さも引っ込んで、相手の顔を見ると
” どう? どう? すごいでしょ、褒めて!!
ほら、褒めて!! ”
と言わんばかりのドヤ顔。
「ごめんなさいね、どうしても誰かに見せたくて」
なるほど?
これは歩数計だったわけですね。
そんでもって、10万歩という快挙を成し遂げたので
誰でも良いから、人に見せたかったと(笑)。
ていうか、10万歩???
「おめてとうございます。
……でも、え?これ、一日で?まさかね?
一週間か数日とかですか?」
「今日、一日の歩数よぉ~」
にっこにこのお姉さま。
いや、10万歩って、どこから歩いてきたんだ……
と思いながらも、偉業には変わりなし。
改めてお祝いの言葉を述べたところで、無事にバスが到着。
和やかに笑顔で別れました。
まぁ、たまにはこんなことがあるのも
面白いなと思ったのでした。
特別、面白く書こうと思ったわけじゃないんだけど…
会話だと、それなりに笑いが取れるわけですよ。
……文章を面白く書ける人を、心から尊敬します
(とてつもない敗北感)。