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開催まであと25日![リュウの恐竜展小話]その⑥

こんばんは!
古生物探究クリエイター(自称)のリュウです。
[リュウの恐竜展2]開催まであと25日!
今回の小話は、前回に引き続き昨年4月に開催した[リュウの恐竜展]のために描いた絵をいくつかセレクトし、その絵にまつわる話をしていこうと思います。
あんな裏話やこんな裏話、ぜひご期待ください。

この前数えてみたのですが、私が[リュウの恐竜展]のために描いた絵の総枚数は、なんと84枚もありました!
しかし、本番で掲載決定した絵はその内24枚ほど。つまり、およそ3割ほどしか世に出しておらず、残りの7割の絵が世に出ていないまま!という訳なのです。
これではそんな絵も報われないでしょう。ということで、今回から4回に分けて、惜しくも掲載に至らなかった「ボツ絵」たちの中から何枚かを独断と偏見でピックアップして紹介していこうと思います。

では早速始めましょう。
最初のボツ絵は、ロウリンハサウルスです。

ロウリンハサウルスとロウリンハノサウルス。
[ボツ理由]:テーマ内容があまりピンとこなかった。

どっちがどっちだ!と思う方もいるでしょうが、首の長い方がロウリンハサウルス、肉食恐竜の方がロウリンハノサウルスです。
かなり特徴的な名前ですが、彼らの名前の由来は単純明快、産地であるポルトガルのロウリニャン地方に由来するものです。
わかりやすく言えば、わが日本の誇る恐竜、フクイラプトルやフクイサウルス、フクイティタンと同じような名前の付け方、という訳ですね。

2枚目のボツ絵は、ズニケラトプスです。

浜辺のズニケラトプス。
[ボツ理由]:ミッシングリンクの説明があまりに難しすぎたから。

ズニケラトプスは、トリケラトプスのような見た目をしていますが、こう見えて実はプロトケラトプスの仲間です。つまり、進化の過程で角のないプロトケラトプスの仲間の中で、角がある個体が現れ始めた、トリケラトプスへ進化する途中の種であると考えられます。
こういった、進化前の生物Aと進化後の生物Bをつなぐ、進化途中の生物Cのことを、生物学の世界では、[ミッシングリンク]と呼びます。バリっバリの学術用語、専門用語です。これを子供向けに説明しようとしてもこれが限界です。誰か良い教え方があれば教えてください。

3枚目は、フレングエリサウルスです。

スカフォニクスを襲うフレングエリサウルス。
[ボツ理由]:[先取権の原則]の説明が難しかった。

生物の学名を決める上で重要なルールとして、[先取権の原則]というものがあります。どういうものかと言うと、生物Aと生物Bが同じ種だと分かった場合、「先に学名が登録された方の名前がその生物の名前になる」というものです。有名なところでは、アパトサウルスと同じ種だったとして名前が一時期消えたブロントサウルスとかはいい例です(ブロントサウルスの場合、最近復活したのですが)。
フレングエリサウルスの場合、ヘレラサウルス(フレングエリサウルスと同じ三畳紀のアルゼンチンに生息していた肉食恐竜)と同種であるという説が上がっており、そうであるならばフレングエリサウルスという名前は消滅してしまう、まさに風前の灯火、といった状況です。
ちなみに、この原則を唯一捻じ曲げた、例外というべき生き物もいます。それは、あのティラノサウルスなのです(詳細は各自で調べてみてね)。

4枚目は、ドラコレックスです。

崖上のドラコレックス。
[ボツ理由]:ハリーポッターを知らない人に配慮したため

ドラコレックスの正式な学名は、[ドラコレックス・ホグワーツィア]。あの世界的ファンタジー小説[ハリー・ポッター]シリーズの舞台の1つ、ホグワーツ魔法魔術学校に由来するものです。
意外と学者が名前を付けるときはこんな感じで創作物から持ってくることもよくあることで、ネタにされた中で私が知りうる限りでは、スター・ウォーズの[ミレニアム・ファルコン]、怪獣映画の傑作[ゴジラ]に[ガメラ]。某ネコ型ロボットと過ごす小学5年生など、まあまああります。
……まあ、神話も創作物と言ってしまえばごまんといるわけなのですがね。

では本日のおしまい、
5枚目は、ポエキロプレウロンです。

山火事から逃げるポエキロプレウロン。
[ボツ理由]:テーマがあまりに重すぎたため。

一見ただの肉食恐竜ですが、私がこれを取り上げた理由として、この恐竜の骨格標本は[戦争によって失われている]ことだからです。
この化石を吹き飛ばしたのは、第二次世界大戦でした。空襲に巻き込まれ、戦火に消えていってしまったのです。
似たような事例として、古い竜脚類のテコドントサウルス、そして最大の肉食恐竜として話題にもなったスピノサウルスの骨格標本も、戦争によって木端微塵となってしまいました。
一方で、相手方からその価値の高さを理解され、壊されなかったり、逆にパクられた化石もあります。
良識さえあればこんなことは起きないのですが、戦争が起こると、こういった学術的に価値のあるものは軽んじられる傾向にあります。
戦争、ダメ、ゼッタイ。
……こんな重いテーマを子供向けにまとめることはできなかったので掲載を見送った次第です。

というところで今日の小話はここまで、
次回もまだまだたくさんある[ボツ絵]の話をしていこうと思います。
それでは皆さん、良い探究ライフを!

[リュウの恐竜展2 〜みんなで遊ぼう![古生物サバイバル!]超試遊祭]
開催日程:2024年3月24日 12:00~19:00
開催場所:東京都文京区本郷4-1-7 近江屋第二ビル6階 探究学習塾エイスクール本郷校

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