各種検査
PET検査(ペット検査)
PET検査はがんの発見には不可欠な検査である。院長も過去数回PET検査を受けたことがあるようだ。癌細胞は活発に活動する細胞であるためそのエネルギー源として多くのブドウ糖が必要になる。PET検査はその癌細胞の特徴をうまく利用している。放射性物質で標識したブドウ糖を点滴して、しばらくブドウ糖が癌細胞に取り込まれるのを待つ、そしてその放射性物質を検出する装置で全身をくまなくスキャンしブドウ糖が集まっている部位つまり癌細胞が固まっている場所を見つけるのだ。同時にCT撮影(体を立体的に撮影できるレントゲン装置)も行われているので全身の正確な癌の位置がわかるという優れモノなのだ。
健康診断センターなどではPET検査つきのコースはかなり高額に設定されている。しかし、ここはケチってはいけないと今院長は周りの人に語っていることは前に伝えたと思うが、癌の早期発見にはものすごく役に立つ検査なのだ。健康診断にPET検査を利用する場合は健康保険が適用されない。だから高額になるのだが、医師が癌を疑いその発見のため医利用する場合は健康保険適用となる。
MRIの結果で悪性腫瘍を疑うと出たので、口腔外科医は次の検査としてPET検査の予定を入れた。口腔外科医はその時点では院長の病気は下顎の口腔内悪性腫瘍であると疑っていたが、念のため全身への転移を見極めるために、PET検査をオーダーしたのだ。と同時に、口腔内の腫瘍は食道から胃にかけて転移することがあるそうで、食道胃内視鏡検査の予約を消化器内科に依頼した。
生検(生体組織診断、バイオプシー)
PET検査と食道胃内視鏡検査の予約を入れたのと同じくして、最も本命中の本命の検査である病変部組織を一部採取して病理診断結果を得るための生体組織診断(いわゆる生検、バイオプシー)も実施することとなった。病理検査というのは、身体から取り出したいろいろな細胞を直接見たり、染色したりしてどんな細胞が見られて、どんな病気になっているのかを最終的に病気を確定診断する方法の一つである。それを専門に行っているのが病理医という細胞のプロフェッショナルである。病理医は病院では直接患者さんと接することはなく、目立たない存在であるが、とても重要な責任ある仕事(病名を確定する=診断する)をするまさにプロフェッショナルなのだ。獣医療分野にも当然病理医は存在する。細胞レベルの話になるので、獣医療の病理医と人医療の病理医との垣根はほとんどない。院長のような患者さんを実際に見る臨床医では人医療の医師と獣医療の医師(獣医師)は資格も、技術ももちろん対象とするもの(人か動物か)も明らかに異なる。医師免許の所轄官庁は厚労省であることは、ほとんどの人は知っていることと思うが、獣医師免許の所轄官庁は?と聞かれて即座に農水省と答えられる割合はどれくらいだろうか?
話がそれたが、病理診断というのは病名を確定するために行われるといっても過言ではない検査である。特に腫瘍の分類において病理診断をしないということはあり得ない。
前述のPET検査の後日、口腔外科で局所麻酔下で院長の生検が行われた。下顎の腫れた骨の部分もガリっとむしり取るような感じで採取されたようである。口腔外科医は採取した標本を5つキチンと取れましたと見せてくれた。こういうキチンと患者に結果を見せるというのは本当に大切なことだと思う。信頼感に繋がる行動だ。
家に帰ってきて麻酔の効果が切れると院長は結構痛がる様子だったので、かなりガリッとされたんだろうなと思われた。
院長お疲れ様。