選手からのボトムアップ 日本代表の戦術 「1mm」からの引用を通して
冨安から、「板倉を変えてくれ」といえないのか?
板倉は明らかに不調だった。冨安の目には心配事が山ほどあっただろう。
イラン選手の裏抜け対応、ヘディングの競り合い、ポストプレーに対する押さえ込み
いつもの板倉なら、8割方対応出来ているのがかなりの確率でイラン側有利な状況に持って行かれていた。
ヒヤヒヤしながら板倉の横でプレーしていた冨安は鬼軍曹としてチームそしてDF陣を鼓舞していた。
リードしていた試合でDFのミスにより同点となった。もしも、次のミスが失点に繋がると敗退の危機に陥る。
そこで、ボトムアップを旨とする森保ジャパンでこの場面
冨安から森保監督に、「板倉が不調だから交代してくれ、または3バックにしましょう。」という提言はできなかったのか?
それを口にしなくて、後悔が生じていないだろうか?
もちろん、チームの戦術や選手交代は監督の権限
ただし、それは最終的なもので変更することを提案することは可能なはず
冨安は前年ワールドカップでクロアチア戦に敗退したことで、個人のチームへの関わり方を変えている。それが、下の記事の引用です。
https://1mm-soccer.com/national-team/1240/
なぜ冨安健洋は“鬼軍曹”になったのか?|森保ジャパン アジアカップ戦記 vsイラン
Writer / 安藤隆人
優勝を目指しながらベスト8に終わったアジアカップ。大会期間中、チームに厳しい目線を向け、アラートを鳴らし続けてきたのが冨安健洋だった。25歳ながら、チームリーダーとして振る舞うようになった男は、1年前とはまるで別人だった。
“優等生”からのキャラ変
「勝ちに値する試合ではなかった」
イランに1-2で敗れてベスト8で敗退後、冨安健洋はバッサリと切り捨てた。
「グループリーグの1、2試合目は間違いなくアジアのチームへの油断だったり、甘さだったりが出た。イラクに負けて『そんなに甘くないよ』と分かった上で、インドネシア、バーレーン戦を戦った。でも、イラン戦で難しい状態に陥ったときに何ができるかが問われた。いい時は当たり前のようにできるけど、悪いとこれまでのことが帳消しになってしまう。熱量やピッチ上の振る舞いも含めて、もっとやらないといけないし、戦わないといけないのに、その熱量の部分はこの試合の後半は特に感じることはできなかった」
アジアカップにおける冨安の立ち振る舞いは、もはやチームのリーダーのようだった。
ミックスゾーンに姿を表すと、お茶を濁すのではなく、ズバッとチームの問題を指摘する。勝った試合の後も、あえてムードを引き締める。昔の冨安を知っている人間からすると、この変化に驚きと頼もしさを感じる。
「もう嫌になる」と口にした日
時計の針を1年前に巻き戻す。カタールW杯の決勝トーナメント初戦のクロアチア戦。延長戦、PK戦にもつれこむ死闘の末に敗れた試合後のミックスゾーン。うなだれながら声を絞り出す冨安の姿があった。
「表面だけじゃないところをどれだけこだわることができるか。目に見えない部分かもしれませんが、そこを怠るか怠らないかで結果が変わってくると思います。本当にまだまだなんだと思います。まだ先のことを見る感情にはなれないですし、難しいですね」
大舞台で実力を発揮しきれなかった自分を責めた。
「本当に何やっているんだろうという気持ちが強い分、まだ先が見えません。僕の中で今大会は今日も含めてトップパフォーマンスを出せた試合はなかったですし、怪我もあって……もう嫌になりますね」
初めてのW杯は不完全燃焼に終わった。この試合を境に自分に対する向き合い方がよりストイックになっていく。徐々に敗戦のショックから立ち直り、先が見えてくる中で、日本代表における自分の存在意義、そしてやらなければならないところを見出したのではないだろうか。
キャプテンの吉田麻也から22番を引き継ぎ、新たなDFリーダーとしての責務を任されたことも大きく、自分だけにベクトルを向けるのではなく、日本代表というチーム全体にも目を向けて、改善すべきところ、伸ばしていくべきところはチームのために積極的に発言をする。
もちろんプレー面でも彼の存在感は際立っていた。まだ代表キャップ数が少ない選手たちへのサポートはもちろん、自らの発信で抜群のライン設定やラインコントロールを随所に見せ、ボランチの守田英正は「ライン設定など、全体のポジションの微調整をしてくれる。周りが良かったから僕はいい立ち位置を取れる。チームとしても大きな存在」と絶大な信頼を寄せていた。
イラン戦の最後は失点に絡む形になってしまったが、この男が日本を救ったシーンがどれだけあったか。間違いなく今大会の日本代表のMVPは冨安だった。
最後に
試合中に冨安やキャプテンの遠藤から、
選手交代や4バックから3バックへの戦術変更の提案が成されており、最終的に森保監督が決断して変更しなかったのであれば、それは監督の責任となる。
世界のトップレベルのクラブでレギュラークラスの活躍をしている冨安や遠藤の試合のながれや感覚はプレーしているその時点では監督以上にわかるだろう。
場合によっては、森保監督からリーダー的な選手に戦術変更や選手の調子や交代の可能性の有無を問いかける場面があってもよいだろう。
ワールドカップで優勝するためには、監督の能力だけでなく、選手達の試合を見極める目を取り入れていかないと優勝への道筋は見えてこない。
特に90分を超えた延長戦での戦い方は、PK戦を含めて研究課題が山ほどあるだろう。
代表戦ではワールドカップ本大会まで実践の機会が全くありません。
だから、選手達が戦うトーナメント戦での経験を代表チームで共有すること。言語化および映像化してまとめること。
そして、指導者側でいうならば大陸選手権やチャンピョンズリーグのトーナメント戦での延長の戦い方をピックアップして90分までの状況分析と延長戦での試合内容を個別に分析して戦い方を研究する必要があるでしょう。