ある日突然、夫が"記憶喪失"になった話。
持病無し・20代・ごく普通の会社員の夫が、ある日突然、過去の記憶を無くした。
その日、私はいつも通り会社へ出勤していた。始業時刻を少し過ぎたくらいにLINEへ着信があった。在宅勤務中の夫からだった。
仕事中に電話をかけてくるなんて珍しいなと思いながら、オフィスから離れ、1人になれる場所へ移動して電話に出た。
電話口から夫が尋常でなく慌てている事はすぐに分かった。ただ、言葉をハッキリとは聞き取れず、早口で絞り出すように何かを必死に訴えている事だけが分かった。私は「落ち着いて」「ゆっくり一言ずつ喋ってみて」「大丈夫?」と優しく声をかけ続け、何とか聞き取れた夫の言葉は信じられないものだった。
夫「Yちゃん…ここが何処かわからない…」
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