課題研究とミニ四駆(前編)
僕の最終学歴は工業高校の電気科卒である。
工業高校は確かに、現代文や数学のような普通科目は弱い。
だが、それも電気や機械と言った、専門的な知識や技術を身に付ける為であるからだ。
僕の電気科では、1年生の頃から電気工事やシーケンス、電気の特性の実習を週に1回していた。
他の課も同様で、機械や建築、それぞれの課専門の知識を付けていた。
そして、3年生になると、『課題研究』なるものが始まるのである。
それは、1年を通し、これまで実習で培った知識と技術を活かし、5〜6人の班で1つの課題に取り組むというものである。
電気科の課題研究は、実際にOBの勤めて居る電気工事士の現場にお邪魔させて貰ったりする班もいれば、スピーカーを自作する班、論文のような物をまとめていた班もいた。
班のメンバーは基本自由だったので、僕達は何も考えずに仲の良い6人で班を組んだ。
だがしかし、コレが吉と出て、凶と出たのだ。
課題研究は週に2時間。
遊び過ぎて、全く進まないのだ。
「進まない」なんて、カッコつけたが、実際は初夏までテーマが決まらなかった。
それに加え、僕の仲がいいメンツと言うのは電気科精鋭の馬鹿であった為、誰も危機感を感じていなかったのである。
担当の先生も、僕達のクラスの担任であった為、僕達と一緒に談笑を楽しんでいたのだが、
「そろそろ決めなきゃまずいぞ…」
と、神妙な面持ちで言って来た時、僕は現状の危うさに背筋を伸ばした。
そして、僕が班の指揮を取ると決意し、班員とのテーマ決めに本腰を入れたのだ。
自分も含め、「遊びたい」が根本にあるコイツらのモチベーションを下げないモノ、尚且つ電気科で得た知識を活かせる題材ー。
小さい頃からアイデアマンと言われていた。
頭をフル回転させるー。
ー大義ー ー左手の法則ー
ー課題研究ー ー電気ー
ー義務ー ー葛藤ー
ー幻想ー ー現実ー
ー焦燥ー ー野望ー
ー叱責ー ー成功ー
「みんな、ミニ四駆を作ろう。」
続く…。