【200字小説】檻にて
不思議な言葉を話しながら顔を近づけてくる巨大な生物たちに対して、僕はただ檻の中でじっとしてやりすごすことしかできなかった。いきなり注射を打たれて放り込まれた地獄に戸惑う僕を見て笑うあいつらが憎い。他にも同じ目に合わされているのも沢山見てきた。あいつらに媚を売ればここから出してもらえるそうだがどこに連れていかれるかわからない。試すにはリスクが大きすぎる。ただ故郷で家族と暮らせればそれでよかったのに。離れ離れの兄弟たちは今どうしているだろうか。ああ、檻が開けられる。「可愛い、この子に決めた」