ヘビにとってシェルターとはどんな場所か
ケージがヘビにとっての "住居" だとすれば、シェルターはその住居の中の "マイルーム" ということになります。
寝室、くつろげる場所であると同時に、何かあった時にそこに逃げ込むことができる場所。あるいはケージの中の "聖域" と言っても過言ではないかもしれません。
つまりシェルターというのは、ただの "隠れ場所" ではないということです。
では、自然界でのヘビのシェルター(いわゆる "お気に入りの場所" という意味で、厳密には飼育下のシェルターとはだいぶ異なりますが)はどんな場所でしょうか。
トタン板の下、塩ビパイプの中、あるいは朽ちた倒木の下や樹木の根っこの隙間など……。彼らが好む場所にはある種の "共通点" があります。それは身体のできるだけ多くの面を何かに触れさせて置ける狭い空間、ということです。
その際たるものが地中で、それゆえ床材に土を使用すると良いということになるわけです。そして、シェルターとして利用できるアイテムも同じようにヘビが少なくとも腹面と背面の両方、それもできるだけ多くを触れておけるものであるということが必須条件となります。
このことを考えると、市販されているいわゆる "爬虫類向けシェルター" というもののほとんどはヘビのシェルターとしては不適当であるということが言えるでしょう。"シェルター=ただの隠れ家" という誤解がそのように不適切な製品を生み出してしまったのかもしれません。
私がシェルターとして使用しているものは、ホームセンターなどで購入できるさまざまなアイテムです。中でも最も適切だと考えているもの、実際に彼らがシェルターとして最もよく使用してくれるものは、エアコンのダクトカバー(化粧カバー)です。
↓具体的にはこのようなものですね。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00288GRXG?tag=ysearch-22&linkCode=osi&th=1
これはナミヘビ科のヘビであれば、ほとんどどんな種にも使えます(柔らかい樹脂でできていますので、ヘビのサイズに合わせてカットして使うことができるのが大きなメリットです)。
穴のサイズと中で身体を丸められる形状、さらには壁面についた凹凸が内部の温度変化を極力減らしてくれることが彼らに好まれる理由ではないかと推測しています。
一方、ボアやニシキヘビなどの巨大化するヘビには、配管用の塩化ビニールのパイプが適しています。これも彼らにしてみると内部のサイズ感がちょうど良いのでしょう。
なおこれらのシェルターは地面(床材の表面)にそのまま置いて使用しても良いのですが、さらにシェルターとしての効果をあげるために有効な方法は半分以上を地中に埋めることです。いわば "地中シェルター"、防空壕のような状態にして使うというイメージです。
さらに入り口付近を枯葉で覆ってあげればパーフェクトと言えるでしょう。
餌の用意をしている時などに、地中シェルターから首だけ出して様子を伺っている姿などはとても愛らしいものです。そこは彼らにとって落ち着ける場所になっているのでしょう。
他にシェルターとして有効なものに、植木鉢の下に敷く園芸用のプラスチック皿があります。これもホームセンターで購入できるアイテムです。
*Amazonでも購入できます。以下のようなものになります。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00KL6DP78/
プラスチック皿はひっくり返して使うのですが、そのままではヘビが中に入ることができません。そのため、皿の "フチ" の部分をノコギリや金切り鋏などで一部カットしてシェルターの出入り口を作ります。この出入り口のサイズは、ヘビのサイズに合わせて5〜10㎝程度とします。
このシェルターも、やはり土の中に半分埋めてあげることで彼らがより使いやすいアイテムになります。
ここまでヘビの "シェルター" についてご紹介して参りました。いずれも、爬虫類専門店で売られているものよりも、値段・実用性(ヘビの嗜好の高さ)ともに優れたものばかりです。そしてこれらはいずれもホームセンターで購入することができます。
ホームセンターには、ヘビの飼育管理に利用できるさまざまなものが売られています。特に何かを探して訪れるということがなくても、店内をなんとなく歩いているだけでも "ん? これは○○に使えるかもしれない" というアイデアがひらめくこともよくあることです。
あるいはここで私がご紹介したものよりも、より優れたアイテムがホームセンターの棚に眠っているかもしれません。次のお休みの日には、お出かけになってみてはいかがでしょうか。