理想的な床材の "層" のつくり方
"床材の考え方" という項目ではどのような素材がヘビのケージに使用する "床材" に適しているか、をご紹介しました。(https://note.com/calliophis/n/n906bb3c64d5a)
今回はそこからさらに少し進んで、理想的なケージ環境のための床材の"層"について考えてみたいと思います。
園芸用の用土など単一の素材で床材を構成することは、それはそれで良いのですが、ヘビにとってさらに "より良い環境" を考えた際、床材にいくつかの素材からなる "層" を作ることが理想的です。
具体的には①最下層に用土、②その上にチモシーなど、③そして枯葉、④そしてさらに用土を敷いた上で、⑤カバー材となる植物などを被せるといった具合です。
数字を振りましたが、この場合は "5層の床材" となるわけです。
このような層を床材に作り出すメリットとしては、
1.ケージ内および地中の温度や湿度が安定し、加温器具や保温器具の稼働効率がアップ
2.各層、あるいはその間にできた空間をヘビがシェルターとして利用できる(層が複数になった場合、振動や余分な光が地中に伝わりにくくなりストレス緩和の効果が大きい)
3.床材に使用している土壌動物の餌として利用できるものが増え、地中環境、ひいては生物浄化の作用がより安定的になる
この3つが大きいと言えます。
一度地中環境が安定すると、かえって床材を頻繁に取り替えたり撹拌したりすることがマイナスになることもありますので、頻繁な清掃を行わなくてよい(というか行わない方がよい)という、飼育管理の省力化の面でのメリットもあります。
*一応の目安としての床材の交換スパンは10カ月〜1年に一度、全体の1/3程度を新規のものと換える。
注意点としては、各層で使用する素材のセレクトで、先に挙げた5層(①用土、②チモシー、③枯葉、④用土、⑤カバー材)でいうと、①と③の用土は "床材の考え方(https://note.com/calliophis/n/n906bb3c64d5a)" でご紹介したもの、枯葉は落葉広葉樹、カバー材はイチョウ、スギ、マツ、タケなど比較的硬く強い植物の葉が適しています。
こうした "床材の層” という考え方、そしてシステムの構築は主に地上徘徊性のナミヘビのほか、ボアやニシキヘビなどでも "半地下" の暮らしを好む種のケージ内環境に利用できます。
理想的な床材は健全なヘビの暮らしの土台となるものの一つです。そして、もちろんここでご紹介した "層" が完全無欠なものだなどとは思いません。
常に飼育個体にとってのより良い床材、地表および地中環境の構築について考え、実践してみること。
それが、長期的に考えた際の飼育個体の健康や長寿につながるということを常に頭に入れておいていただくといいように思います。