ゼウスの子供たち①:アテナ(知恵・工芸・戦略の神)
知恵・工芸・戦略の女神、アテナは、オリュンポス12神のひとりです。
ゼウスとメティス(智恵の女神)との間に生まれました。
なんと、ゼウスの頭から、甲冑で完全に武装した姿で飛び出してきました。
詳しくは、こちらの母・メティスのお話を見てね☆
アテナは、アテナイのアクロポリスにパルテノンの神殿を持ち、フクロウを聖なる動物として持っていました。
また、知恵を表す蛇や、平和の印としてオリーブをその象徴としています。
戦の女神としてのアテナは、父・ゼウスと同様に、アイギス(山羊革楯)を持ち、その楯にはゴルゴンの頭部が付けられていました。
しばしば大きい前立ての付いた兜を被り、槍とアイギスを持った若い威厳のある乙女の姿で表されることがありますね。
アテナは、ゼウスの子供たちの中で最も気に入りの娘であり、アテナに対する愛情ぶりに、他の神々は嫉妬したそうですよ。
そりゃそうですよね。なんせゼウスが産んだ娘ですから(笑)
親友・パラス
アテナはトリトンの娘パラスと一緒に育てられました。
二人は親友となり、戦の技に励んでいました。
少女の頃、パラスと槍と楯を持って闘技で遊んでいたところ、喧嘩となってしまいました。
パラスがアテナに攻撃しようとした時、アテナを溺愛していたゼウスは、天空よりアイギスを差し出しました。
パラスは驚き、アテナは直後に間違って彼女の命を奪ってしまいました。
アテナは親友の死を悲しみ、パラスに似せたパラディオンと呼ばれる木像を造りました。
そして、自分の名の前に「パラス」を置き、パラス・アテナと名乗ることにしたと言われています。
*パラディオンとは、都市の安全を守るとされた非常に古い像である。
宇宙の支配権を巡る大戦(ギガントマキア)
ガイアは、タイタン族をタルタロスに幽閉したゼウスにひどく怒り、多くのギガス達を生み出してゼウスを脅かし、戦いをけしかけました。
この時、アテナはギガスたちの中で最も強力なエンケラドスと戦い、エンケラドスがアテナには敵わないと思って敗走したところにシケリア島を投げつけて圧殺しました。
また、トラキアでは不死であったアルキュオネウスをヘラクレスとともに引きずり出し、打殺したと言われています。
詳しくはこちらの「ギガントマキア」のお話を見てくださいね。
*エンケラドス
巨人族、ギガスたち(ギガンテス)の1人である。その名は「大音響を鳴らす者」の意味があります。
アテナの子・エリクトニオス
アテナは武器を作るために、ヘパイストスの工房を訪れました。
ヘパイストスは妻のアプロディテにすっかり相手にされなくなっていて、美しいアテナに欲情してしまったのです。
ヘパイストスはあの手この手で迫りましたが、アテナは拒んで逃げました。
アテナは一生懸命に逃げましたが、ヘパイストスは不自由な足で追いかけた末に、アテナに追いつきました。
すると、ヘパイストスはアテナの脚に精液を撒いちゃったんです。
現代なら犯罪もんですよ! ヘパイストスさん!
アテーナーは怒ります。そりゃそうです。
アテナは、ヘパイストスの精液を羊毛でふき取って大地に捨てました。
この精液が落ちた大地は身ごもって、エリクトニオスを生んだと言われています。
そして、このエリクトニオス誕生には、もうひとつのお話があります。
ヘパイストスはアテナを妻にしようと寝室へと忍び込みました。
しかし、アテナが武器をもって拒んだので格闘になりました。
その時、ヘパイストスの精液は大地に落ち、そこから下半身が蛇の形をしたエリクトニオスが生まれたと言われています。
トロイア戦争(トロイ戦争)
トロイア戦争(トロイ戦争)のきっかけは、黄金の林檎を巡るアテナ、ヘラ、アプロディテの対立にあると伝えられています。
詳しくは、「トロイア戦争」を見てくださいね。
自由奔放な女神
美と知恵を兼ね備えたアテナは、自由奔放で非常に気が強く、傲慢でわがままなプライドの高い女神だと言われています。
自分に批判的な言動や態度をとる人物に対しては、容赦なく罪や罰を与えます。
例えば…
アレスに「勝手気ままに振る舞っている」と言われたり
自分の容貌の美しさと美を競ったメドゥーサやアラクネを容赦なく罰したり
パリスの審判でヘラやアプロディテと美を競ったり
よほど自分の容姿に自信があったのですね。
しかし一方では、別の一面を見せています。
英雄たちにはかなり好意的なアテナなんです。
ペルセウスのメドゥーサ退治の時には、表面が鏡のように磨かれた盾を貸しました。
ヘラクレスのステュムパリデスの鳥退治の時には、ヘーパイストスの作った青銅の鳴子を与えました。
ベレロポンには、ペガサスを調教できる黄金のくつわを与えました。
そして、オデュッセウスには助言をして妻に会わせたりしていました。
ゼウスの息子で同じ戦の神のアレスが戦いの残忍さを象徴する神であるのに対し、アテナは理知的で気高い戦士としてしばし登場します。
海の神ポセイドンとの争いでは、ポセイドンが馬を作りだし人間に与えたのに対し、アテナはオリーブの木を作り出し人間に与え勝利するなど思慮深い面も見せました。
人間性の裏と表を見せられているみたいです。
こんなお話もあります。
アテナは神々の宴会で、自分の発明したアウロス(二本管の笛)を吹きました。
すると、ヘラとアプロディテに笑われました。
なぜだろうと思い、演奏している時の自分の顔を湖面に映して見て、顔が醜くなることを知りました。
アテナは笑われた理由を知り、腹を立て、自分で発明したアウロスに呪いを掛けて捨ててしまいました。
*サテュロスのひとりマルシュアスがアテナが捨てたアウロスを拾ったとも言われていますよ。
アテナが水浴をしている時、カリクロ(ケイロンの妻)の息子・テイレシアスはアテナの全裸の姿を見てしまいました。
裸を見られてしまったアテナは怒り、テイレシアスに罰を与え、視力を奪いました。
しかし、母・カリクロにテイレシアスの目を治すように訴えましたが、アテナは自分が掛けた呪いを解くことができませんでした。
目を治す代わりに未来を予言する能力を授けたと言われています。
アテナはヘラとも仲が良く、ヘラの命令によく従うこともあります。
・アテナはヘラを支援してアルゴナウタイの冒険を助けました。
・パリスの審判を根に持ちトロイア殲滅を望む二人は、ギリシア側に助力しました。
・ヘラが起こしたゼウスに対する反乱にも参加しました。
・しかし、ゼウスの立場に合わせて行動することもあります。
ゼウスとアテナの策略でヘラの母乳を飲んだヘラクレスは、
不死の体と驚異的な怪力を手に入れています。
・ヘラの豪華な刺繡入りのローブは、アテナによって織られたものなんですって。
かわいい一面もあるんですね。
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