電子工作入門編(4) 抵抗器について
1.抵抗器の目的
電子回路に流れる電流を必要な量に調整することが一番の目的です。
部品には最大定格(それ以上電気を流すと壊れる値)が決まっています。電気は大きすぎても小さすぎてもダメなのです。電圧、電流の調整は様々な方法がありますが、抵抗がコストも安くシンプルです。
また、回路を安定して動作させるためにプルダウンやプルアップといった用途でも用いられますが、今後マイコンの回で説明していきます。
2.抵抗器の作動原理
抵抗器は電気を流しにくい物質(炭素等)が含まれています。
電気を流すと熱が発生します。
この時の電気を熱に変換し、空間に放出することにより
電流を減らします。
3.抵抗器のスペック
・抵抗値
電気抵抗のそのものを示しています。単位はΩ(オーム)。
k(キロ)やM(メガ)といった接頭語も使われます。
抵抗の時だけMΩのことをメガオームではなくメグオームと呼ぶときもありますので覚えておきましょう。
・定格電力
抵抗器は、電力を消費し熱に変換します。発熱するので定格電力が規定されており、その範囲内で使用しないと"燃えます"。単位はW(ワット)。電子工作でよく使われるカーボン抵抗器は1/4W(0.25W)といったところです。
抵抗器の材質によって、定格電力が変わるということを覚えておきましょう。
・精度
電子工作で使用されるカーボン抵抗器の一般的な誤差は±5%~±10%
これは100Ω±10%とあれば90Ω~110Ωまで存在するということです。
電子工作のレベルでは問題ないと思われますが、精度が必要な場合は精密抵抗と呼ばれるものを使用することになります。
4.抵抗の種類
固定抵抗:抵抗値が部品の製造段階で決まっているもの
半固定抵抗:抵抗の変更が可能だが、一度変更したらその後変更しないもの
可変抵抗:音量調整等で頻繁に調整するもの。ボリュームともいう。
5.抵抗の読み方
固定抵抗の表面に4色の帯がついています。これをカラーコードといいます。これは抵抗値を示しています。
カラーコードは金銀を最後になるように読みます。
1番目と2番目は数字を、3番目は乗数(10の何乗か)を、4番目は誤差を示しています。
写真の抵抗器の場合、茶色(1)、黒(0)、橙(3)、金(±5%)を表しており、
10×10^3 → 10KΩ 誤差±5%となります。
どの色がどの数字なのかは語呂合わせで覚えます。
抵抗によっては色が5本や6本 ついているものがありますが、電子工作では4本のものをメインで使いますので、とりあえず4本の読み方を覚えしょう。
6.回路図記号
新旧で2種類あります。
ギザギザのやつ(旧)と電車の駅みたいなやつ(新)と覚えてください。
ここに矢印が付いているものがりますが、3項で説明した調整可能な抵抗を示しています。
7,抵抗の直列・並列の計算
抵抗はJISやISOで制定されたE系列と呼ばれる等比数列刻みの値で生産されています。1Ω刻みでは用意されていません。
自分が欲しいとする抵抗値がない場合、近しい値の抵抗を使用する。半固定抵抗を使用する。既存品で適合するよう回路の見直し。既存の抵抗をつないで希望の抵抗値を作る。等ありますが、ここでは既存の抵抗をつないだ時の計算方法を説明します。複数の抵抗をつないだものを合成抵抗といいます。
直列とは一本でつながっている状態。
並列とは横並びにつながっている状態。
直列は単純に足し算でOKです。
並列はちょっと面倒。
・同じものが2個並列だと単純に半分になります。
違うものが2個ある場合、スタンダードな計算は以下の通りです。
計算が面倒なので和分の積が便利です。和分の積は2つの抵抗が並列になっている時のみ使用できます。分母が足し算、分子が掛け算です。
2個以上並列になっている場合、和分の積はそのままでは使えません。
2つのみで和分の積で抵抗を計算し、計算して出された合成抵抗値と残りの抵抗を1つを和分の積で計算します。
8.覚えておくこと
・抵抗器の使用目的
・抵抗器には最大定格がある。種類によって違う。
・抵抗器にはカラーコードがあり、抵抗値を示している。
・抵抗器は1Ω刻みでは用意されていない。
・抵抗の直列接続・並列接続の計算方法。
・抵抗の回路図記号