見出し画像

専業主婦になる選択


結婚前に勤めていた会社はいわゆる寿退社で去った。
支社があるような会社でもなかったし新居から通えなくなったので仕方なかった。
まだ27歳だった。それまでに転職したこともあったし、周りにも結婚を機に転職した友達もいた。落ち着いたら就活しよう~と高をくくっていた。

結婚してしばらくは百貨店のお中元会場のバイトをしながら就職活動をした。
大卒、女、27歳、新婚。特記するような資格はない。
平々凡々な女。
出来れば前職の経験を活かせるような仕事がいいなと思い何社か面接に行ったが、いずれ妊娠出産あるでしょ?という体で面接されているのがめちゃくちゃ伝わってくる。

きっつーーーーーーーー。それしか出てこない。
そりゃいつか子供は授かりたいと思っていたけど、いつになるかもわからないしもう神のみぞ知る領域なので分かんないです…としか言いようがないし、最低でも3年は必ず働きます!!!!なんて言ってももっと早く子供が欲しくなるかもしれないし結果的に嘘つくことになんてなるのも嫌だし。っていうか27歳新婚女性ってだけでこんなに敬遠されるのかと絶望した。
のちのちにこれはMaybe Baby Bias(メイビーベビーバイアス)とよばれるものだと知った。

会社を経営する立場からしたら、そりゃ現実問題として入社してそう時間の経たないうちに産休育休取られるのは出来れば避けたいと思うのもわかる。人員を確保するにはコストもかかる。私自身も出産後も復帰する前提で仕事を探していたけど最低限の産育休は取得したかった。その間の私の仕事の穴埋めは誰がするねんっていうこともそれ故に入社したばかりの人がすぐ産休~はちょっとな~と思うのもめちゃくちゃわかる。分かるんだけど…!!!!というやりきれない気持ち。
私が入社したいと思う会社はそういう反応が多かった。結婚しただけで選択肢がこうも狭まるのかと思うとちょっとぞわぞわした。何社か受けて、お祈りメールが届くたびに胸がギュッとなった。

そのうちもう正社員にこだわることは諦めた。
どれだけのやる気があってもどれだけの能力があっても年齢とライフステージで私の価値がある程度決まってしまうのならもうどうしようもないと思った。
結局週4勤務のパートになった。

結果的に約2年働いて子供を授かった。
職場は人数も多くパートでも産育休は取らせてもらえるとのことだったのでありがたく産休と育休を取らせてもらった。

もちろん復帰する前提で産休+育休に入った。
が、しかし居住地は「日本、氏ね」を地で行く保活激戦区で週4でいわゆる時短勤務扱いではまぁ保育園が決まらない。完全ワンオペで通勤のことも考えるととりあえず入ればどこでもいいからというわけにもいかない。きっつーーーーーーー。

あー、戻れない。社会に戻れない。妻になることも母になることも自分で選んだけど社会にいる自分自身を捨てたつもりはなかったのに。

夫は激務で平日はほぼフルワンオペ。送り迎えも病児の対応も全部私。家事もほぼ私。実家はそう遠くないけど両親ともに仕事しているから頼れる状況ではない。え、これ、私、詰んでる…????????

ここから社会構造に怒るターンがやってくる。

夫は平日は子供が起きてくる時間に帰ってくることはない。働いて給与を得てくれないと生活できないので頑張れる限りは大いに頑張ってほしいのだけど、夫の社内にも家庭を持つ人もたくさんいる中でこの働き方はもう時代にそぐわないんじゃないですか???と怒りがわいてくる。
男は外で仕事、女は家を守るなんてのはもう旧時代で夫婦共働きが当たり前の世の中でなぜそういう働き方をさせるのか疑問がわいてくる。共働きなのに家事育児を回すために私が仕事をセーブするのが当たり前なのはなぜなのか。夫の会社が私の会社に乗っかっているだけではないのか。ちなみに夫の会社は子育てしやすい会社として厚労省より認定を受けているらしい。嘘だろ。この働き方させるならもりもり家族手当つけてくれよ、本当に。

夫は休みの日は全力で子供と向き合ってくれているし、私の一人時間もたま~~~~にとれるようになってきた。でもほとんど実家の助けもなく夫婦二人で家庭を回していると正直きっつーーーーーーーーーと思う瞬間は多い。もう脳を停止して一日中布団にいたい日もある。


いろいろ考えた結果、復帰は諦めた。
置かれている環境等もあるけど単純に自分のキャパシティ的に働きに出て家事育児を乗り切れる感じがしなかった。
私がご機嫌に過ごせないのは嫌だと思った。ありがたいことに今はまだ私がフルタイムで働かなくても食うには困らない。大した貯蓄はたぶん出来ないけどとりあえずは子供たちにひもじい思いをさせずとも生きていける。

子どもたちがもう少し大きくなったら、と思いながら情報収集だけはしておこうとは思う。

娘はこども園に通っているので、働くお父さんお母さんとも毎朝あいさつを交わす。すごくうらやましい。でもきっとそれは隣の芝生。

私はいったん専業主婦になる選択をする。
社会から取り残されたような気分になることもたくさんあると思う。
でも自分の人生をこうするしかなかったと思いたくないし、今は子供のこと家族のことに専念できる環境に感謝しながら全力で走ろうと思う。

いつか世の中が変わって私のような人間でも社会に出やすい世の中になりますように。

いいなと思ったら応援しよう!