世界から見る日本の造船業界とは?世界海事大学(WMU)奨学生に聞いてみた!
中小造工 広報担当です。
私たちは先日【世界海事大学(WMU)奨学生歓迎レセプション2023】に参加してきました!
まずはじめに、
世界海事大学(WMU)はどんなところ?
WMUの奨学生はどんな人?
奨学生になるとどんなことをするの?
というところからお伝えしていきます!
世界海事大学(WMU)は、1983年に国連の専門機関の国際海事機関(IMO)によって設立された海事分野に特化した大学院大学でスウェーデンにあります。「海事教育訓練」や「海上安全・海洋環境管理」など7分野の修士課程が設けられ、専門知識を深め、国際感覚を養う場となっています。
日本財団の支援のもと、笹川平和財団の海洋政策研究所が「世界海事大学(WMU)笹川奨学事業」を実施し、WMUの修士課程で学ぶ学生に奨学金を提供することで、海事・海洋分野における国際的な人材育成に貢献しています。
奨学生になれる条件としては、世界各国の海事・海洋関連組織で働く公務員であることなどがあげられます。日本の組織に例えると、国土交通省海事局や港湾局・海上保安庁・海技教育機構のような組織で働く人といえます。最近では、海事関連だけでなく、海洋開発関連や海洋環境関連の組織の出身者もいるようです。
奨学生は、日本海事大学(WMU)の修士課程において、海事エネルギー管理、海上安全、海洋環境管理、海運管理、流通など幅広い専門教育を14カ月間にもわたって受講します。
でも勉強だけではありません。5月のWMU休講期間には1週間の研修旅行があり、日本の海事業界へ訪問できます。その訪問先は、港湾施設や造船、海事教育機関などの中から、過去の訪問先とかぶらないようにその時のホットトピックを参考にしながら選定されるそうです。
なんと、今回の研修旅行の訪問先に、当会会長の造船所「旭洋造船」が選ばれました!
そして私たちが参加したのは、この日本での研修旅行初日に開催される歓迎レセプション!
“世界の海事関係者は日本の造船業をどう思っているのだろう?”
ということがとても気になっていました。
そこで、この貴重な機会に「日本の造船業についてどう思っているか」などを、直撃インタビューし、生の声を聞いてきました!
いきなりのインタビューでしたが「I will answer to the best of my ability」(精一杯お答えします。)と快く引き受けてくださいました!
フィリピンの沿岸警備隊に勤め18年になるそうです。
―――――What do you think about Japanese shipbuilding industry?(日本の造船業界についてどう思っていますか?)
The shipbuilding industry of Japan is very enormous and it really helps a lot, especially for us, the Philippines. Because you are the one who provided us the much needed vessels. And for the record, the vessels that you provided us is really for all weather conditions.
(日本の造船産業は非常に巨大で、特に私たちフィリピンにとっては本当に大変助かっています。日本は私たちにとても必要な船を提供してくれた国の一つだからです。実際に、日本が私たちに提供してくれた船は、本当にあらゆる気象条件で利用できます。)
―――――What do you want to know about Japanese shipbuilding industry? (日本の造船業界について何を知りたいですか?)
basically, I just want to know how you build the ships and what are the components that you're building the ships. And what are the industries involved in the shipbuilding. Then, well, I'm from the Philippine Coast Guard, so basically, one of the major assets that we have is the ships. Because we use it in conducting maritime patrols in the area. So I just really want to know how you build the ships. And hopefully, in the future, we could have a good collaboration with the shipbuilders in Japan for the dry docking or the building instead of building here, you can build the ships in the Philippines. Well, who knows? But it will be very fruitful, actually.
(基本的に、私は日本が船をどのように建造しているのか、そして日本の建造設備がどんなものかを知りたいです。そして、造船に関係する産業にはどんなものがあるかです。それから、私はフィリピン沿岸警備隊の出身なので、基本的に、私たちが持つ主要な資産の 1 つが船なのです。なぜなら、この地域で海上警備を行う際に使用するからです。だから、どうやって日本が船を造っているのか知りたいのです。
そしてできれば将来的には、乾ドックや建造に関して日本の造船所と良好な協力関係を築くことができて、日本で造船する代わりにフィリピンで造船できることを願っています。まあ、どうなるか分かりませんが。でも、それは本当にとても実りあるものとなるでしょう。)
造船業界に勤めて3年以上がたつそうです。
BAKU SHIPYARDでは機械配管を担当する空調制御システムエンジニアをされているとのこと。
―――――I heard that you will going to a Japanese shipyard, how do you feel about going there? (日本の造船所に行くと聞きましたが、行くことについてはどう思っていますか?)
I'm really feeling very excited and I really appreciated it. Because we know that Japan is a very developed country and I mean especially shipbuilding. There are a lot of more than 700 shipbuilding factory in Japan. And our government they are interested in Japan shipbuilding industry. Because they are very well developed, they are very modern. So also our company and Japan delegation, they are still negotiations, some negotiations going on. So it's interesting for me.
(本当にとても興奮していますし、本当に感謝しています。なぜなら、日本は非常に先進国で、特に造船業の先進国だからです。日本には700以上の多くの造船所があります。そして、私たちの政府は日本の造船産業に興味を持っています。なぜなら、非常によく発展していて、非常に現代的だからです。そのため、当社と日本の代表団もまだ交渉中というか、いくつかの交渉が進行中です。だから私にとっては興味深いんです。)
国土交通省に入省して5年がたつそうです。
船の魅力は、太平洋の真ん中に船で行ったとき、人もいない、車の音も聞こえない、本当に何もない世界だった。海の上だからこその世界感に感動したとのこと。
―――――入省から5年、現在はWMUに通われていますが、入省当初と今で船に対しての考え方など何か変化したことはありますか?
入省当初は、上司や造船所の方々など沢山の人に色々と教えて頂いていたので、とにかく一生懸命やっていた感じなので、当時どう思っていたとか、どう感じていたとか分からないくらい必死でした(笑)
今はWMUで海洋環境持続可能性の勉強をしていて、日本に欠かせない海運とか造船業とかが、ポジティブなインパクトだけではない影響を海洋環境に与えているということも学びました。とはいえ、私たちは海運や造船業を諦めるわけにはいきませんので、どうネガティブな要素を減らしてポジティブなものに変えていくことができるのかを課題としています。
なので今は、それを変えていくことができるのが、国の政策なのか、造船所で働く方々なのか、海運を利用するコンシューマーの問題なのかということなどを考えています。
今回のインタビューを通して、日本の海事業界・造船業界は世界の海事業界と連携し助け合っていること。また、世界から日本の海事業界・造船業界へとても高い関心を寄せられており、評価も頂いているという事に日本人として嬉しく思います。
そして、これからの未来。
海洋環境保全への取り組みについても重要視されています。
世界から注目される日本の造船業界!
これからも更なる発展を目指して。
インタビューにご協力頂きありがとうございました!
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