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とあるキャンプ場のコーヒー
H君と別れて摩周湖から内陸へと入り、無料キャンプ場へとやってきた。
到着した頃には暗くなりはじめたので、夕飯後すぐに就寝。
翌朝5時頃、テントの中が明るくて目が覚める。
テントのジッパーを上げると、久しぶりの朝日が目に飛び込む。
北海道に長らく雨をもたらしていた低気圧がようやく去ったようだ。
テントから這い出して、朝露が蒸発した爽やかな空気をいっぱいに吸い込む。
キャンプの朝特有の清々しさである。
「にいちゃん、コーヒー飲むか」
同じくキャンプをしていた年配の男性に声をかけられた。
「いただきます!」
いただいたコーヒーをすすってから炊事場で洗い物をしていた時、そのおじさんの方に目をやる。
テントの上に張られた銀色のシートにマジックで喫茶店と書かれていた。
一瞬、お金を払わなければならないのかとドキッとした。
「定休日 気がのらないとき」
たぶん無料だろう。
話に聞くと、おじさんの車旅はずっと奥さんと一緒だったらしい。
しかし、数年前に奥さんが先立たれてからは車旅でどこへ行っても楽しくなくなったのだとか。
それで、毎年暖かい季節がくると、奥さんとの思い出のキャンプ場で冬がくるまで過ごすようになったらしい。
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