80歳夫婦イタリア絵画旅行記 (16)
【イタリア・あの愛しい人達に】
(7)さらば カスティリオーネ・オローナ
受付へ戻ると、閉館近くの時間になっていたようで…、例の二人の女性が待っていてくれました。ここへ着いてから全てを見終えるまで、我々以外の来訪者は一人も無く、我々夫婦二人で、マソリーノを満喫する時を過ごしました。
とても優しく、とても親切に接してくれたお二人に感謝し、別れを惜しみながら帰路に着くことになりました。
探し探して来た時の目印だった塔を振り返り、我々は二度と訪れることは無いのか?と感慨深く見上げました。
心馳せる思いで駆け上がるようにして来たこの石畳の坂道、帰路では一抹の寂しさを抱きながらゆっくりゆっくり惜しむようにして下って行きました。
この帰り道、村の通りの古い民家の壁や入り口に (上のタイトル画像) フレスコ画が描かれていました。「聖母子」像が素朴に描かれているものもあり、お供えのようにして置かれていた赤い缶が印象的でした。まるで京の街のあちこちで見られる"お地蔵さん"のような佇まいを感じさせ、微笑ましく思えました。
こんなに遠く辺境とも思えるこの地、マソリーノは恐らくミラノから馬車か? 馬か? また我々のようにひたすら歩いてか? ここが生地のカスティリオーネ枢機卿の注文依頼を受けたとは言え、よくもここまでやって来たものだなぁと思います。
帰り道、来る時あんなに迷って、あんなに遠かった道。何となくの覚えながら…ここを通った、確かここを曲がったなどと道を逆に辿りながら、かの駅を目指しました。
振り返り見る暮れ始めたこの地の夕陽、もしも万が一にも再びイタリアへ来ることが出来た時は、きっとまた歩いて歩いて訪れたいとの思いを募らせながら歩き続けました。
*拙い文をお読み頂きありがとうございます
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