700円

知り合いから贈ってもらったスターバックスコーヒーの電子チケット。
3枚貰ったうちの、最後の1枚を未だに消費できずにいて、そろそろ使用期限が近くなっていた。

1枚あたり700円とそこそこ良いお値段。さすがに使わなきゃ損。
今日はちょうど有給を取っていたし、甘いものを摂取したいと思っていたので、わざわざスタバに行くことにした。


そう、わざわざ行くものなのである。
この田舎において、スターバックスコーヒーというものは。

いくらチケット消費のためとはいえ、飲み物を買うということだけに車を出すのは癪なので、その足で中古ショップへ楽器を眺めに行くことにした。

楽器屋の帰りに、ドライブスルーで季節メニューのメロンフラペチーノをオーダー。普段はコーヒーばかりだけど、「今日は暑いし、たまにはいいな」と思った。

レジまで車を進め、スマホの電子チケットの画面を開いて待機していたら
店員のお姉さんが言った。



「メロンはもう何回か飲まれましたかぁ~?」


いつもこれやるよね。
問診か何かですか?



僕「ええ、まあまあ、まあ、何度か。」
お姉さん「まあまあ……まあ(笑)」


はぁ?
なんか僕オモロイこといいました?


お姉さん、顔が引きつってた。
自爆じゃん。
じゃあ聞くなよ。もう。
僕は陰キャだぞ。なめるな。

それからお姉さんは、次の季節メニューの宣伝をひとしきりして、QRのスキャンを1度ミスってから、ようやく商品を渡してくれた。
次の季節限定はバナナだって。おいしそうだね。

しかし、こういう社員教育なのだろうか。
「タイパという言葉が好きそうな店がいちいちタイパの悪いことをするな高校 校歌」歌うぞ。ガチで。


正直スタバに行くと毎回、おいしいけれど、モニョっとした気持ちになる。
自分がおしゃれボーイではないからなのか、社交性に乏しいからなのか。そういうみっともないコンプレックスを抜きにしても、店と客の両方で独特の“ノリ”みたいなものが存在していて、それに肌が合わないと感じているのは確かだ。あれは何なの?

今まで散々言われてきたであろうことだが、あえて自分も表明したい。

ダルすぎる。スタバ。

全国各地に出店し大衆化して久しいのに、未だにスタバが多くの人の中で「ステータス」っぽくなっているのは一体何なんだろうか。
物価高騰に悲鳴が上がるのご時世で、それこそメルカリで資金繰りをしていそうな若者たちが、何故か1杯700円そこそこするスタバには足しげく通うのである。不思議だ(ド偏見である)。
果たして彼らはスタバに味を求めているのだろうか?

土日なんかは死ぬほど混んでいる。もはやカフェとして寛げる余地は皆無である。食事をガッツリ食べる店でもないのに、イオンのフードコートとさして変わらない。ブランディングに対して混み方がダサすぎる。

店内はさながら椅子取りゲームの様相で、受け渡しカウンターでは「これから誰かのゲリラライブですか?」というぐらい待ち客で混雑している。特に整列するわけでもないし、店側もメニューと個数だけで待ち客を特定しようとするし、中々に効率が悪い気がする。番号とかじゃダメなんですかね。

それでも未だにスタバで一服することをステータスとする連中は、混雑する店内で猛禽類の如く鋭い眼光を放ち、ソファ席を狙い、何としてもそこに尻をねじこむのだ。
そして店内で泣き叫ぶ子供や、学生集団、アトラクション感覚で注文をするおじさんやおばさんを横目に、これ見よがしに本やラップトップ、勉強道具を開く。地獄である。
何時間居座るつもりだろうか。勘弁してほしい。どう見てもピーク時のラーメン屋以上の回転率が求められているだろう。

「別に生活の一部というか?普通に利用しているだけですが?スタバをォ」

とでも言いたげな洒落臭いお一人様も居るが、だとしたらロケーション選びのセンスにクセがありすぎるだろう。
マジか?
わざわざ車で来て、こんなに落ち着かない場所で本読んだりするの?すごいな。

スタバ好きのNoteなどを読み漁っても、カフェというよりはブランド自体がおしゃれアイテム的な扱いをされていて、もはやロゴマークへの妄信というか、主体性のない空虚さすら感じる。恐らく多くは、その味や空間、サービスを求めて殺到しているわけではないのだろう。
(もちろん全国行脚するほどのマニアが居るのも知っている。)


店員も店員で、最近はなんだかキラキラ系の若い子ばかりいる気がする。
とにかく目を合わせてくるし、隙あらば話しかけてくる。店員同士もずっと商品作りながら何か喋っている。
朝一番の挨拶ですら「お疲れ!」とか言ってきそうなノリである。

無理に話しかけなくていいよ。
人にはそれぞれの過ごし方があるんだ。

そのくせに
僕「そこのダブルハム&マリボーチーズの石……石窯…フィローネ……ってのください」
お姉さん「…………あ、そちらからお取りくださぁ~い♪」


分かりづらい。POPなりなんなり書いておいて欲しい。
小難しい商品名を全部言わせてから「買い方違いますよ」って案内するのやめてよ、恥ずかしいから。
ホスピタリティってなんなんだろうか。
格好良さで売りたいなら客さばきの仕方も格好良くあれよ。雰囲気でサービスを提供しないで欲しい。合理性に欠けるポイントが多すぎるだろう。

とにかくブランディングとサービス、混雑具合がちぐはぐな気がして、自分の中では最近スターバックスというお店が、「ちょっと立ち寄れるコーヒーチェーン」から「目的に対して面倒な体験が多い場所」になってきてしまっている。

気合を入れて来る人間が多すぎるスタバ、店舗数を増やすなり何か混雑対策をして欲しいものだ。また、用でもないコミュニケーションにいたっては、キラキラ系の若者が要領の悪い仕事をしているようにしか見えないので、できればやめていただきたい。

本当にもう、何がダサくて何がイケてるんだろうか。
僕は普通にちょっとドリンクを飲みたいだけなのに。
何かのついでに寄りたいだけなのに。


思い返せば「MacBook開いて~」と揶揄され始めたころのスタバは、本当に静かにMacbook眺めている人だけだった気がするのは気のせいだろうか。
席の間隔ももっと……

いや、気のせいか。



それはそうと、次はバナナか~
気になるなぁ~

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