生き延びるために本を読め【プロローグ】
いかにもどこかの書店で目にしそうな一文です。
『生き延びるために本を読め』
(たとえば壁に貼られたポスター、カラフルな色の台紙のポップ、カルチャーとライフスタイルの本棚の真ん中あたり)
私なら、足を止めず通り過ぎてしまうかも。
ああ、よくある感じのね、と。
何を言わんとしているか、想像できる気がするからです。
人生において、読書によるサバイバルを勧めるアジテーション、あるいはそのものずばり、極限状態を切り抜けるための指南書かも。
(もし宮廷晩餐会に招かれたら、平原でピューマに遭遇したら、義母から5分後に遊びに行くと電話があったら)
けれど私がブログにこんなタイトルをつけたのは、そのどれにも当てはまらないながら、他に表現のしようが無かったからです。
文字通り、私がこれまで読書をしてきたのは、生きるためでした。
どうにか人生を生き延びるため。
もちろん他の人々もまた、それぞれに大変かつ、苦労をしながら自分の人生を生きてきたはず。
辛い思いを重ねてきたのは、何も私だけではありません。
それでも私には私なりにいくつかの困難があり、その都度ごとに、読書に頼り、助けと力を得てきました。
本を読むことで、数々の危機を乗り越えてきたのです。
詳しくはこの先にお話ししていきますが、私には外の世界や家族以外と接することが困難な時期があり、そこでは本は至極重要なものでした。
私にとって、まさしく生命線であり、世界そのものと言えるほど。
そのため、私は生き延びるために読書をしてきた、という表現は、いささかの誇張もありません。
ですので、全部でどのくらいになるかは未定ながら、これからしばらく、私の読んできた本と、それにまつわる事柄などを語っていきたいと思います。
いわば、ごく私的なブックガイドであり、個人的な記憶の振り返りです。
他の方からしたら全く興味の持てない話かもしれませんが、新たな本との出会い、意外な発見、他人の人生を覗く面白さも含めて、お目通しいただけたら幸いです。
一話に一冊、分野を問わず、古今東西の本たちが登場します。
それでは、また次のお話でお会いいたしましょう。