1972年リリースのアルバム「The Late Great Townes Van Zandt」
”1972年リリースのアルバムでRateYourMusicのユーザ評価が高いもの” トップ50を調べ、当時と今の評価を紹介してきた。
1972年のトップ50ではないが、評価の高いアルバムをいくつか紹介してみる。
今回はタウンズ・ヴァン・ザント(Townes Van Zandt)の「The Late Great Townes Van Zandt」。
日本ではもちろんアメリカでも、音楽好き、SSW好きな人しか知らないテキサス出身のマイナーなシンガーソングライターである。当時日本盤が発売されるわけもなく、自分が実際に彼のアルバムを購入し音を聴いたのは、80年代に入ってからである。
SSWとしては究極のところに位置していて生前に残した10枚ほどのアルバムはタウンズ・ヴァン・ザントのファンにとってはどれも甲乙つけがたい宝物だろう。
この「The Late Great Townes Van Zandt」に邦題を付けるとしたら ”亡き偉大なタウンズ・ヴァン・ザント” だろうか。もちろんリリース時の彼はまだ20代後半。きつい洒落のタイトルだが、その後の彼の人生を知るとなんとも不吉なタイトルである。
Snow Don't Fall、Pancho&Lefty、If i Needed You など人気の高い曲が入っていることもあり、70年代の彼のアルバムの中でも人気の高いアルバムである。”人気の高い” といってもそれは後年のことで、リリース当時の売上的には相当悲惨なものだったらしいが。
”アウトロー・カントリー” というとウィリー・ネルソンとかスタイルとしてのアウトローもあるけど、タウンズ・ヴァン・ザントの場合はハンク・ウィリアムやジョニー・キャッシュのような、人としてぶっ壊れた人生のアウトロー的なところも良い。
"Van Zandt" という姓からするとオランダ系だと思うが、テキサスでは古くから続く由緒ある家柄らしい。そんな人がこうしたアウトロー的カントリーをやるというところにはなんとも南部の闇を感じざるを得ない。
If I Need Youをカバーしヒットさせたエミルー・ハリス。
一時ポップなカントリーもやっていたけど、グラム・パーソンズと行動していたカントリー・ロックのオリジネーターの一人。21世紀に入ってからも新しいサウンドを創っている。
この人などもアメリカの音楽シーンの厚みを感じさせるシンガーである。
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