るいネット閉鎖に寄せて

2023年5月。ウォッチャーから魔窟と呼ばれていた、とあるサイトの閉鎖が発表された。「るいネット」である。

るいネットはこれまで様々な疑似科学や陰謀論を掲載しており、さらには意図的に拡散しようとしていた形跡があったことから、ウォッチャーからは偽情報のハブと見られていた。2023年7月21日現在、確かにサイトにはアクセスできなくなっている。

るいネットとは

るいネットとは、類グループ（後述）によって運営されている投稿型ウェブサイトで、その開設は2001年2月1日という長寿サイトであった。

2001年9月6日のトップページアーカイブ

2022年9月1日のトップページアーカイブ

無料会員になれば誰でも投稿できるものの、掲載にあたっては管理者の審査があった。「論理が整合していない」記事や「根拠が提示されていない」記事は掲載されないとあるが、筆者にはそうした記事が多数あったように見える。また、「生物史・人類史及び現代意識潮流上の事実を捨象した、『自由』『個人』『人権』等の虚飾観念を絶対とする主張」も掲載されない方針で、そこからはこのサイトが持つ独特の思想が窺える。

掲載基準

偽情報を拡散してきたるいネット

るいネットは多種多様な疑似科学・陰謀論情報を拡散してきた。いくつか例を挙げれば、「玄米乳酸菌液でSTAP細胞が作れる」説や、

「玄米乳酸菌液でSTAP細胞が作れる」という怪情報が2014年末頃から出回っていたんですが、まだ生き残っていたとは...ネットに延々と漂って人間に奇妙な行動を起こさせるウイルスみたいです。 pic.twitter.com/Vp4J5nh2SD

— 雨宮純 (@caffelover) October 20, 2022

「TBSのMという社員が、クライシス・アクター（ヤラセ事件を演じる役者）として様々な報道画像に登場している」説（この記事からはさらに、最近著名人までもがRTして問題になっているRAPT理論（※愛媛の新宗教が運営している陰謀論サイト）にリンクが貼られていた）、

何となく顔が似ているからといってTBSの女性をコロナ禍を煽るためのヤラセ要員=クライシスアクターとする投稿が陰謀論者界隈で広がっており、端的に言って誹謗中傷です。しかも掲載してるのが以前「殺人ワクチン」チラシを撒いていた類グループの関連サイト。 pic.twitter.com/WyMCcDg98h

— 雨宮純 (@caffelover) July 30, 2021

「重曹で、癌や、被爆、虫歯、肝臓病などあらゆる病気を治せる」説などがある。

意図的に拡散していた形跡

るいネットの記事については、以前から拡散するbot群が存在することが指摘されていた。

流してる大元は全部「WHOが抗癌剤を禁止している」デマとか「日本が在庫処分場」デマ流してるbotアカウントだ。
これらのbotのリンク先が4枚目の写真の黄色いバックのところ。 https://t.co/MurTvvsvLm pic.twitter.com/EMpAwKhKBc

— toss ★緊急事態条項はトロイの木馬、憲法停止ウイルス！ (@tossact) October 22, 2022

さらに、botの中には「BOTにコピーするのはこのシートです。」という文言を残したまま投稿しているものがあった。何者かがbot製作者に拡散を依頼していたのは明らかだろう。

文言を消し忘れたか

一時はかなりの数存在していたbot群だが、最近の動きを見たところ、軒並み今年の4月までで活動を停止していた。TwitterAPIの仕様変更が影響しているのだろうか。