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セーラームーン無断使用スピビジネスサイトの背後に蠢くもの(後編)

謎のイベント、「祭りっくす」

前編で触れた「セーラームーンプロジェクト」について調べている時のことであった。筆者は件のプロジェクト主催者、巫とりまロンメルが「全国一斉ライトワーカーイベント」を計画していることに気づいた。当初は「Rising Vibrations」というイベント名だったが、後にトレンドワードが「祭りっくす」に決定し、名前としては後者をよく目にすることとなった。

このイベントでは全国各ブロックのオープンチャットが運営されており、同様に全国各地にオープンチャットを展開していた神真都Qを彷彿とさせた(公式として運営されていたアカウントは凍結済み)。

ちなみに、このイベントの東京版を取り仕切っていた人物はセーラームーン無断使用サイトの製作者であり、「セーラー戦士はぶっちゃけ全員知らなかった」などと嘯いていた。筆者からすると大変に不快である。同じ人脈がこのイベントを企画していたのだ。

告知画像にはスピリチュアルワードが散りばめられており、極めてスピリチュアル色の強いイベントであることがうかがえた。

スピリチュアルワードが並んでいる

祭りっくすに行ってみた

このイベントには誰でも参加できたため、気になった筆者は2022年5月29日に代々木公園で開催されていた、祭りっくす東京版に行ってみることにした。

代々木公園原宿門から歩くこと数分、林の中に人だかりを発見した。他の集団に比べてかなり規模が大きく、脇を見ると「祭リックス」と大書された紙がぶら下がっている。人数の規模は200~300人といったところだ。スピリチュアル色の強いイベントの特徴だが、たとえ陰謀論が混じっていてもこうした場所には女性が多い。見たところ参加者の7割程度は女性で、中心となる年齢層は40代。子連れも多かった。

受付をしている間にも参加者は増えていった。

会場の一角にはテーブルが置かれ、参加者同士が交流するためのカードが用意されている。これが受付だった(といっても個々人でカードを取って自己紹介を記入するだけである)。筆者は参加しなかったが、イベントの企画に「皆で歌う」時間があり、その際のために「パプリカ」と「世界に一つだけの花」の歌詞もプリントされていた。

堂々と並べられるマルチ商法製品、何事もなく受け入れられる新宗教

受付のテーブルには上記のカードの他に、参加者が自由に使えるクリームやアロマが置かれていた。そこに置かれていたアロマは、筆者にとって馴染みのあるものだった。

上の写真に写っているアロマオイルは、アロマ系マルチ商法として有名なD社の製品である。

ウォッチャーなら容器を見た瞬間に特定可能

さらに会場には、同企業の製品を体験できるブースもあった。出展者に会員がいるのだろう。アロマ系マルチ商法の2大企業であるD社、Y社はどちらもスピリチュアルとの相性が良く、アロマとスピリチュアルを結びつけたセミナーやセッションの案内を目にすることが多い(会員にそうした人々が多いだけなのか、会社が主導しているのかは不明)。筆者もその手のセミナーを受講したことがあるが、講師が「D社のアロマはチャクラ開発に効果がある」などと言っており驚いた記憶がある。

このイベントの内容は、アロマの体験に波動が上がるCDの販売、オーガニック食品の販売などであり、ほぼスピリチュアルイベントと言って良いものだった。

さらに周囲からは「実は私宇宙人で…」「あっ、だから宇宙語が話せるんですね!」という会話も聞こえてきて、巫とりまロンメルの周辺がいかにスピリチュアル色の強いものかが実感された。恐らく陰謀論の部分で認識しているのは「光と闇との戦い」や「主流医学はDS製薬企業なので信用できない」「トランプは救世主」程度で、Qアノンの出自についてもよく分かっていないだろう。

結局、こうした界隈のボリューム層は、コロナ禍やワクチンへの不安から陰謀論も素直に受け入れてしまっている人達であり、匿名掲示板に引きこもって延々と推理をしているタイプのネットジャンキーではない。特に政治色の強い陰謀論者が参加すると、完全に浮いてしまうはずだ。

などと考えを巡らせていると、通りがかった女性のバッグからUFOに関する冊子が飛び出しているのに気づいた。

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