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陰謀論者に侵食されて終了した異次元転送トランスメディアプロジェクト、オングズ・ハットとは何か
奇妙な研究が行われていたゴーストタウン、オングズ・ハット
ここに、一つの文書がある。
「Ong's Hat: Gateway to the Dimensions」と題されたこの文書は、1980年代の終わり頃に現れ、オカルトやSF、陰謀論やニューエイジなどのコミュニティで流通した。
![](https://assets.st-note.com/img/1686499338395-3TRSwRwkHr.png)
その内容を要約すると、次のようになる。
米国ニュージャージー州バーリントン郡のゴーストタウン、オングズ・ハット(Ong's Hat)。ここにはかつて、スピリチュアルの探究者(スーフィズム、タントラ、シャーマニズムなどを研究)と物理学者が同居する実験場があった。人々が暮らした場所は現在でも容易に探り当てることができるが、研究所を見つけるのはそれほど簡単ではない。
物理学者は「認知カオス」理論を研究しており、その理論では脳活動が「フラクタル宇宙」としてモデル化され、意識そのものが特定の神経活動周辺の「混沌のパターン」として提示できるとされた。この実験場では物理学者とスピリチュアル探究者が出会い、物理理論と瞑想法、錬金術、精神薬理学、バイオフィードバックなどの混合が発生したが、これは思わぬ成果を生んだ。
オングズ・ハットでは「エッグ」と呼ばれる装置が開発されていた。これは感覚遮断装置を改造したもので、音による神経細胞の刺激やバイオフィードバック、幻覚剤や精神活性剤の使用によって特殊な精神状態を実現し、「波動関数の崩壊」を体験することが目指された。
その研究が進んでいたある日、被験者を入れたまま忽然とエッグが消えてしまったのである。幸いにしてエッグは再び出現し、被験者は異次元宇宙へのアクセスを直感した。ゲートが開かれた瞬間であった。
オングズ・ハットの研究者たちは異次元転送の方法を開発し、近隣で起きた放射能漏れから逃れるために人々や施設を異次元宇宙へ移動させた。こうしてオングズハットはニュージャージーから消えたが、ゲートとなる秘密研究所は残されている。
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原文には物理学やニューエイジの用語が絡み合いながら並び、読み手をかなり選ぶ。怪文書の類と言って差し支えないだろう。
ところがこの奇妙な話は「Ong's Hat: Gateway to the Dimensions」(以降、「Ong's Hat: Gateway」と省略)だけに留まらなかった。その後、オングズ・ハットの研究者たちが暮らしていた共同体(ムーア科学アシュラム)の生存者へのインタビュー記録や音源も登場し、このインタビューでは、ゲートとエッグを破壊するための政府エージェントが、オングズ・ハットを襲撃したことが証言されている。
さらに、1990年頃に登場した希少本のカタログ、「Incunabula」にもこの文書は収録され、その編集者であるエモリー・クランストンは電話インタビューの中で、自身が「Java2」というもう一つの地球に行ったことがあると証言している。このインタビューは「この電話番号と住所は使えなくなります」と唐突に打ち切られたが、エモリー・クランストンのメールアドレスは生きており、問いかけた者には謎めいたメッセージが返された。クランストンは、Incunabulaに隠されたヒントを読み解くことで真相に辿り着けると発言している。
また、「Ong's Hat: Gateway」と類似の理論を主張するニック・ハーバートという物理学者が実在し、その著作はIncunabulaにも掲載されている。とあるハーバートへのインタビューの中で、インタビュアーがエッグを思わせる質問をしたところ、「世の中には、直接聞いてはいけない質問がある」と打ち切られた。
実在の土地や人物とも結びついたOng's Hat: GatewayやIncunabula、それに関連した文書群は、90年代のインターネットにアップロードされてからネットユーザーたちの注目を引き、考察に熱中するエッグ・ヘッズと呼ばれる人々を生み出した。その中からは、Incunabulaに触れてから日常生活における奇妙なシンクロニシティを体験したり、知覚の変化を感じる、視界の隅に影の存在が現れるようになるなど、神秘的な体験を訴える者も出現した。
果たして、オングズ・ハットの実験場や「エッグ」は実在し、異次元転送が行われていたのか。あるいは何者かによる悪ふざけか。
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