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愛する友人へ

また悩んでいるなと、苦笑いしました。深夜に悩みを深めるところが、私の類友だなと思います。あなたの何が、周りと違くて、あなたの何が誇るべきところなのかは、距離の離れた私にははっきりと分かります。

あなたの持ち味、誇るべきところは、頭の回転が早いところでも、人より何か優れた技術を持っているところでもありません。勿論それらも「通常よりは」できるだろうし、「通常よりは」頭の回転の早い子だなあと感じることもあります。ですが、自分で考えていたように、世の中には、もっと優れた人がいて、その人達と比べて苦しくなってしまうのは、そういうところが人とは違うんだよ、と言われたことがあって、

「もっとすごい人はいるのに」

「自分は違う、そんなにすごくはない」

「皆にもできるのに、何でそんなに褒められるのか」

そう考えてしまって、益々謎を深めてしまい、また、そう評価される自分に釣り合おうとして、余計に苦しくなっているのではないでしょうか。

私の考える、あなたの素晴らしいことは

「当たり前にしなければいけないことを、繰り返すことができる事」

「正当に評価されるべきマイノリティの味方になれる事」

だと私は考えています。もっと言ったら、可愛いところとか、強がるところとか、私が愛しく思えるところはたくさんありますが、仕事で評価を受ける点は、恐らくこの2点ではないかと思います。

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人は怠惰で、愚かな生き物なので、簡単に楽な方に流れてしまいます。これをしなければならない。例えば、給与をもらった以上対価を払わないといけない。これは社会では当たり前のことですが、思ったよりも沢山の人間が、この「当たり前のこと」を忘れてしまいます。

私は会社を辞める直前まで周囲を見ないように過ごしてきましたが、ざっと見ても、恐らく体調不良とは嘘ばかりのリモートワーク勢や、そのリモートワークの中で、サボっている人が沢山目につきました。でもあなたはいつも、どんな時でも、どの部門にも切り込んで、関わろうとしていた。

人が見ていなくても見ている時も、サボろうとはしませんでした。当たり前のことをしていただけだと、あなたは言うのかもしれませんが。いっときは出来たとしても繰り返すことはできないのです。

「当たり前にすることを、自分の意思で繰り返すこと」は大勢の人にはできない評価されるべき素晴らしい点です。

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多くの人は、周囲から浮くことを好みません。一緒に働いていた時、あなたは、温和で事勿れ主義の子なのかと私は思っていましたが、本当は、いつも疑問を持って、熱い気持ちで働いていました。それは人との出会いで変わったのかもしれないし、元々そうだったあなたの性格を、私が見誤っていたのかもしれません。

私があなたの上司だった時、私が周囲に誤解されないように注意をしてくれたことがありましたね。あの時から、あなただけはいつも私の味方だと感じることができるようになりました。

私は入社してからずっと、周囲に正しくあることを強いてきました。

どんなに良い企画があって、周りが期待でいっぱいになったとしても、コンプライアンス上抵触のあるようなものであれば、提言をしてきたし、先に入社していた周囲の人がやりたくなくて辞めていくような微調整のコーディングや、テストを部下にもさせて自分でもしてきました。

きっと私の部下たちは、こんなことしたくないよって思っていたのかもしれないし、実際に離れてから、教えを守ってくれた人は、あなた以外にはいませんでした。

そんな中でもいつも私の味方をしてくれたと思います。

この頃の私にとって、あなたの存在がどれだけ自分の救いになったかはわかりません。私は見せかけの強者ではあったので、弱者ではなかったし、なんでも自分の思い通りになる立場にあったから、人から見たら強者だったのかもしれないけれど、

マイノリティであるところの私に味方をしてくれたことは、恐らく到底普通は出来ることではないのだと思います。

人に流されない、自分が良いと思ったことだけをやる姿勢は、ただの強者の味方になることではないと思います。実際に、私には誰も意見を言えなかったけれど、自分が間違っていると感じた時は、言ってくれたじゃないですか。それは強者の味方になっているわけではないのだと思います。

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ここで一つ私の話をしたいと思います。私は入社してから、すぐにたった一人だけいつも味方をしてくれる人がいました。私が最も弱い立場だったときに、周囲にどれだけ「お気に入りだから」とか「付き合ってるから」とか下世話なことを言われたとしても、公然と、正しいと思ったことには評価をしてくれました。

私の行動速度に周りがついていかなくて、沢山の部下がやめてしまった時も、「ついていけない方が悪い」と言ってくれた人がいました。その人のおかげで、私は自分を見失わずに生きてこれた部分があったと思います。

でもその人は、立場上私の味方ができなくなってしまいました。私が悩んでいるとき、声をかけたいと思っていたそうなのだけど、それが「会社の意思」と取られてはいけないからと、見て見ぬ振りをしてきたそうです。

彼の代わりに私の力になってくれた人は直属の上司ではなくあなただったと私は思います。

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直属の上司のことは、信頼していたし、大好きだったけれど、一つだけ大嫌いなところがありました。それは、

全て救おうとするくせに、途中で投げ出すところ

です。あの人は人たらしだから、人が大好きだし、人に好かれたいと、恐らく無意識にすごく思っているし、周囲の人から好かれている自分がきっと好きで満足していると私は考えていました。

だからこそ、弱い人や、周りの人を助けようとするのだけど、大抵弱っていく人間は、何度も同じことを繰り返します。その度に絶望して、何度も傷ついて、自分でそれを抱えようとしていました。

そういうところが、心配で、不誠実で、大嫌いでした。

私は、救おうとしなくていいと思っています。ついてこれないなら、置いていけばいいと思っています。置いていかれて、もがく人間の方がきっと強くなるし、ついていけなかったとしても、毎日同じことをしているうちに、いつしかついていけるようになると思います。

それが自然の摂理だから。

それでも、やっぱり何もしなくなる人は出てくるものです。何もしなくなる人たちは、自分の意思で何もしないのだから、それを考えさせる必要はないのではないかと思うのです。

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そこにいる時は、きっと苦しいと思います。いつまで続くんだろう、と不安になると思います。だから全てを理解できなくても、気持ちが救われなくても、それでもいいと思っていいます。

あなたは自分の昇進や、評価されることを、運や状況によるものだと考えているかもしれないですが、

人がやりたくないことを拾って、全て自分のものとして処理して、当たり前のことを続けて、自分の意思でやめずに続けて、人から誤解されようとそれを受け入れ、そうやって進んできた努力が認められたからこそ、今高いところから周囲を見渡せるようになったんだと思います。

勿論放棄をすることも出来るし、誰かがやるから自分はやらなくていい。

と考える人はたくさんいますが、自分がやるべきことだと考えて、自分でやってきた。からこそ、辛かっただけのリターンを得たのだと思います。冒頭でも言いましたが、「当たり前のことを繰り返す」ことは辛いことなんです。それが、あなたの人よりも優れている点です。

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例えば周囲の人が、いつもと同じ反応を返してくれなかった時。

例えば周囲の人が、チャットの返信をしてくれなかった時。

自分のせいなのかもしれない、自分がもっとこうしたら良かったのかもしれないと、考えることは苦しいし、自分を責めることにも繋がりますので、こう考えてはどうでしょうか?

人は、自分の思っている通りに動く。だから、その時、その人は、やりたくなかったかもしれないし、できなかったかもしれないし、怒ったかもしれないし、落ち込んだり悲しんだりしたかもしれない。

けれどそれらは全て、「その人がそうしたくてしただけのこと。」

あなたは「あなたの行動のせいで、周囲の人がそう反応した。」

と考えているかもしれないけれど、そうではないのです。あなたがゆっくり話したとしても、周りを巻き込もうとしたとしても、優しく言ったとしても、弱者を助けようとしたとしても、同じ反応だった可能性はあるし、ただ、その時、あなたの周囲の人は思ったように行動しただけなのです。

全部自分が起点だと思うと苦しいかもしれないけれど、皆考えて思った通りに動いているだけ。

だから、あなたも同僚が、「誤解してもらいたくない」と言ったことも、その同僚の思っているだけのことだと受け止めて、やりたいことをしたらいい。

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私の次の会社は、前に企業理念が気に入って応募したと、話したことがあるかと思います。そこの最高責任者の言葉です。

「私たちは長期に誤解され続けることを受け入れる。結果が出ない時に、この提言が正しいのか間違っているのかを客観的に評価し、それでも正しいと思った時には、自信を持って誤解され続けることをやめない。」

私は続ける、ずっと当たり前のことをやることができない方だから、そうなりたいと思っています。私は、あなたのことが大好きで、いつも尊敬しています。