見出し画像

月と6ペンス 〜 恋する惑星 (散文)


よく、映画や 小説のような人生ですね

とか、

あなたみたいな人に会うのは 初めて

と、何度もいわれる


本当にそうだろうか?

けっこう、こんな自分も 案外 平凡で
どこにでもいる中年女なのかも? と 思ったり 思わなかったり、、、



恋する惑星という映画が大好きだ

何度観ても良い

ひとりの女が 恋をした警察官の部屋に勝手に入りこみ、模様替えをしたり
掃除をしたり
やりたい放題

明らかに 様子がおかしく変わっていく自分の部屋に
警察官の男は 意外と 従順に反応している


もっと 驚愕したり 恐怖せいよと
こちらが 肩を叩いてやりたくなる程(笑)


一方で わたしは そんな彼を好ましく思っている


留守中に女の子に自分の部屋をイタズラされようと
どこか 冷静 どこか コケティッシュにさえ 捉えているようで
頼もしい


ふふふ


わたしと彼の始まりは 恋する惑星のように
始まった


だが、わたしは 不法侵入 ではない


わたしの日記の読者であった彼が 会いたいと言った

( 19歳 年下)



わたしは 答えた

じゃあ、先に部屋が見たい 


こんな事を 言いだされ慄かない男とは 一体世界中にどれくらい存在して
いるのだろう?



その男は 自分のアパートの地図を書き、送ってくれた


部屋の鍵は?


そう訊いてみると、鍵はかけないでおく、と言う


そういう、世間的な常識を軽々と逸脱してしまうような男


そんな男が好きだ


だって、Junが会いにいくんだよ?


部屋の鍵がなんだっていうんだ(笑)


彼のくれた地図は 正直なところ、なんの役にも立たず
青い壁のそのアパートに辿り着くのに 何時間もかかってしまった


近所と思われる交番で 住所を言って
教えてもらい やっと その建物の一階のドアを開ける


部屋は ワンルームで狭いが 意外と片付けられていて
最初に目に入ったのは 白いデスクとその隣の本棚


椅子には深緑のカーディガン


うん、いい 
とてもいい


そう思う


デスクの上に積み上げられた本


ダニエルピンクだった


本棚に並ぶ沢山の小説たち


花束みたいな恋をした
の、有村架純のセリフ 「うちの本棚じゃん」 だっけ?


とは、思わなかったが、
小説のセンスが ハンパない


どちらかと言うと、日本の小説より海外のものが多く感じる


レイモンドカーヴァー
ブコウスキー
ヘミングウェイ
トルストイ
ドストエフスキー
ブローティガン


静かに それでいて 饒舌そうな それらの書物が語りかけてくる


『 よく きたね  これが この男の部屋で 我々が その男の
人生の一部さ  君も 我々と その男を 味わってみたら良い

きっと 今 以上に 素敵な人生が 待ちうけている 』


そして、一冊の文庫本が 目にとまった

モームの  月と6ペンス


わたしは すっかり 満足して 手土産のマフィンを冷蔵庫の上置いて
帰った


そう、彼とは まだ 会っていない


男から メールが 届いた


帰っちゃったの?


うん、ちょっとした 秘密を 残してきたよ


男は その 秘密を知りたがった


なかなか 気づかないので 仕方なくヒントを教えた


月と6ペンス


わたしは その本に 手紙を隠しておいたのだ


こうして 二人は 始まった


その後については、ボクの過去日記の数々を読んでもらえば
分かるだろう


くれぐれも、物語体質の男は気をつけた方がいい


そして 文字や 文章に その人を見出し
ましてや 恋などにおちたりしようものなら


Junみたいな ろくでもない女に人生を


めちゃくちゃにされる未来が 


ようこそ ここへ  ヒックヒック と待ちうけている  ←どこかで聞いたと思ってる
そこの君は 立派なJun フリーク


素晴らしいセンスに 誇りを感じてくれ(笑)



人生は 予測不可能


そして  とんでもなく  愉しい


( おまえがな  )


男の 嘆き声が 聞こえたような、、、、



・:*+.\(( °ω° ))/.:+



いいなと思ったら応援しよう!