お店の名前とロゴの話
「前から言っていたカフェをそろそろ開こうと思ってるんやけど、名前決まったよ。カフェの名前は・・・『CAFEめがね書房」ってしようと思ってる。」
友達に世紀の大発表をした時の話である。
「・・・」の間はカフェの名前を発表する時ちょっと戸惑ったから。
全て自分で考えた事なので、最初自信が無かったというのもあるけど、今まで心の中で妄想していたカフェの名前を発表するのは結構恥ずかしかったです。これから何かお店を作ろうとしている人は覚えておいて下さい。名前発表するの案外恥ずかしいです(笑)
真昼間のスターバックスのテラス席でパソコンを広げ、お店の名前の由来やコンセプトをわざわざパワーポイントで作ってプレンゼンじみた事をした目的は、その友達にお店のロゴを作ってもらう為だった。同級生のその子は広告などのデザインをする仕事をしていたので、信頼できる友達にお店のロゴを頼みたかったのです。
店名の由来
カフェをやりたいと心の中で思い始めた26、7歳だったと思う。
もし本当にカフェをやるなら名前は何が良いのだろうかと考えた時、真っ先に思いついたのは「めがね」である。
単純に眼鏡が好きだからで、みんなから覚えやすい名前にしたかったのもある。ちなみに眼鏡が好きになった理由は話が長くなるのでまたいつかの機会に。
でもまだこんな店名で良いのかと不安な気持ちがあったが、妄想ならただなのでその名前でお店をオープンする妄想を頭の中で思い描いていた。
そんな中、店名を決定づけたある1本の映画に出会った。
それは映画「かもめ食堂」の監督・荻上直子の次作である映画『めがね』だった。
この映画は、「電話の通じないところに行きたい」と理由だけで、南の小さな島に都会からやってきた女性を中心に、その島で「ハマダ」という旅館を営む宿の主人、旅館に集う人々などの穏やかな人間模様をつづったヒューマンドラマ。
これと言った大きな事件はなく、とにかくゆるゆると時が流れていく物語で、この映画の最大のテーマは「たそがれ」、各登場人物にそれぞれ自分なりの形で黄昏るシーンがある。
映画の雰囲気は自分が思い描いていたカフェとは違ったけど、その“黄昏れ”という言葉に心の琴線が触れたのです。
僕の作ったお店で、それぞれの形で黄昏れてもらいたい、そんなお店にしたいと。
眼鏡が好きなのがきっかけですぐさま映画館まで見に行った映画『めがね』を見終わった瞬間、店名に“めがね”を入れることが決定したのです。
***
第一候補の店名は『cafeめがね』だったが、単純な名前なので、全国探せばどこかに同じ名前がありそうだと思った。名前はできれば被りたくない。今同じ名前のお店が無くても何年か先にいつか同じ名前が出てくるだろう。もうちょっと何か付け加えたい。
そんな事を考えていた時、古本の販売もするブックカフェにすることが決まったので、「cafeめがね」の後に本屋さんと分かるような名前を付けようと考えた。
「書店」「文庫」「書房」「書林」「ブックス」etc...といくつか候補があったが、当時たまたまよく聞いていた音楽に「ミドリカワ書房」というシンガーソングライターがいた。
そんな単純な理由で「書房」に決定した。
カフェが好き、眼鏡が好き、本屋が好き。
こうして自分の好きなものをただ単純に組み合わせただけの『CAFEめがね書房』という屋号が誕生したのでした。
ロゴの意味
お店の名前の由来と共によく聞かれる質問は、お店のロゴマークの意味です。
確かにこのマークは一見何を表しているのか分かりにくいですよね。
しかし、お店のキーワードを並べてみると、なんとなく見えてくるかもしれません。
・「めがね」という名前のカフェ
・本の販売もしている
・ギャラリーを併設
大まかにはこの3つ。
さらに友達にプレゼンしたお店のコンセプトに、自分のお店を介して、「本」と「人」、そして「人」と「人」が繋がるようなコミュニティ的な役割を果たしたいと話しました。
その結果、本の形状と人という漢字をモチーフに、キラリと光る「ヒカリ」のシンボルマークをつくってくれました。人と人との「つながり」と、珈琲、本、アートに触れた時の「トキメキ」を表しています。
「本」と「人」、そして「人」と「人」が合わさったロゴマークなのです。
あれ、「めがね」は?と思ったと思いますが、安心して下さい。ちゃんと「めがね」も入っています。
このマークを何個か並べてみると・・・
ほら!眼鏡が出てくるのです!
何個かロゴマーク案を出してくれたのですが、このマークの意味を知った瞬間、このロゴマークに即決しました。
僕の思いを全て詰め込んでくれたロゴマークを作ってくれた友達に感謝です。
***
自分でお店をしてみて感じるようになったのですが、この世には多くの屋号が存在しています。カフェだけに限らず、どのお店の名前にも意味があるはず。
一つ一つの屋号の数だけその人の思いや「物語」がある。
そう思うと、なんだか胸が熱くなります。
これから出会うお店の名前に、どういった思いが込められているのか、その人の思いを考えるようになりました。
僕は自分のこのお店の名前を大事にしながらこれからも歩んで行きます。
このお店が無くなってしまわないように。
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