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飲食店の内装の理想と現実

前回までは「内装、店内の様子、は店そのものだからそこには徹底的に力を入れ、かつその店内の様子が一望に出来るくらい外から見えるような作りにすることが、お店の前を通りかかる人に向けての最高の宣伝広告である」という話をしました。 今回は内装設計、業者選び、等もう少し深く切り込みます。

まずどんな内装にするのかということは「こういう風にしたい」というビジョンが現時点でぜひともあってほしいといいますか、これがない状況で物件を選んだり、業者に任せたりするなんて個人的には信じられません・・・。
これから長きにわたり自分の城、主戦場、娯楽場、になるんですよ?まずは「こういうお店にしたい」を決めてください。

その際にまずは予算のことなど一切考えないで、ただし坪数等のキャパはあらかじめ踏まえて、他人の意見なんかも一切無視して思い描いてみてください。ここが出発点です。

でももちろんその後に予算もろもろのことは考えるのです。

決めました?いや、決まってない人はゆっくりじっくり決めてください。
今「他人の意見なんかも一切無視して」と言いました。ですからここから先私が述べることはあなたにとって「他人の意見」にほかなりません。これを先に読むのは本末転倒なので、ご自身の店内ビジョンが見えた方のみ読みすすめてください。

既にビジョンがある、または前文を読んでから考えに考え、見つかり、数行前からここにかなり日数を経て読みに来てくれた方々こんにちは。進めます。

理想とする内装イメージがある程度固まった人が次にすべきこと、それは理想と現実の「せめぎあい」からの「おとしまえ」です。
先に「予算や他人の意見は無視するも、キャパは踏まえる」と言いました。 つまりこれまでに述べている「ワンオペ個人店の適正坪面積」をおさらいすると、 10~15坪 席数は坪数の倍の20~30席 です。

自分の理想とする内装を追求すると往々にして、その理想に対して面積が「狭すぎる」、席数が「少なすぎる(もっと多く確保しなければならない)」という現実が見えてきます。
それはそうです。だいたい10坪とはつまり20畳。お金持ちの人が暮らす人の家ならリビングだけでも20畳あったりしますし、また一般的な2DKの住まいにしましても、バス、トイレ全ての合計だと20畳くらいにすぐなります。

店舗の場合、この規模に「厨房、客席、トイレ、ストックルーム」全てを含めるわけですからいかに狭いかはわかると思います。
家族であれば3~4人かもしれませんが、20~30人を収容する必要があるのが店舗なのです。 これらの現実から目を逸らさないためにぜひやってもらいたいことが、「縮尺設計図」の作成です。
なんか小難しいこと言い始めたと思うかもしれませんが、この手の作業に私ほど向いてない人もいないくらいこういうのは苦手ですが、歯を食いしばってやってみました。 方眼紙を買ってきて思い描くレイアウトを実際に落とし込んでみるのです。 店舗内装の平面図はどんなに下手くそでもいいのですが、寸法(縮尺率)だけは正確にしてみてください。やってみればわかりますが、理想よりも全てにおいて驚くほど狭いことに気づくはずです。

デザイナーや設計士に頼むからそういうのはいいんだよ、と言わないでください。
デザイナーや設計士というのはそういう職業、仕事としてやっている人なのであって、あなたのイメージの細部に至るまでの深い部分まで意思統一が成り立つものと考えないほうがいいです。
ただ、ひとつ言うとデザイナーや設計士はやはりいたほうがよく、特に厨房設備や水回り等に詳しい、飲食店舗を手がけたことがある人がやはりいいというのと、さらにもうひとつこれまた重要なのですが、手馴れたデザイナーであるほど結構グイグイ持っていかれる場合があります(笑)。
いや、費用がということではなく先方の圧倒的主導権により精神的に持っていかれるということです。
こちらが素人で頼る気持ちも多いことから、グイグイ引っ張ってくれる人がありがたいという施主の気持ちもわかります。
しかしもう一度繰り返しますが、向こうはやはり仕事でやっています。先例に無いものや規格外のことは煙たがられます。 そして、この「先例に無いものや規格外のこと」こそがあなたのお店の圧倒的オリジナリティを出す部分であるとも言えるのです。
その初期衝動の部分を消さないように努めるのはオーナーであるあなたの使命です。

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