「文月今日子の世界―最上級のロマンス・メイカー」を読みました
「文月今日子の世界―最上級のロマンス・メイカー」
立東舎 2023.9.15
X(Twitter)に感想をあげようと思ったら、少し長くなったので、noteにします。たいしたことは書いていませんが‥。
文月先生のロングインタビューは、まさに”女の一生”で大変興味深く拝見しました。朝の連ドラのようです。あの年代の九州の女性が!ご自身のご両親のみならず、嫁ぎ先のご家族皆さん理解がありますね。子供の頃から絵を描くことを反対されもせず、東京で一人暮らしも編集者の実家の2階に住まわせてもらったり、こんなに恵まれた環境であっても、やっぱり大変なことはあり、山あり谷ありで。盗難にあったり、ご病気もされたり‥。
漫画家さんの夫がマネージャーというケース、時々伺いますが、先駆け的な感じがします。マネジメントから資料集めからお料理まで、とてもマルチ。あの時代の九州の男性がと思うとちょっと驚きます。やはり商売やってると「共働き当たり前」っていう感覚はあるでしょうけれど。しかしお料理が半端ない上手さのようですね。調理師免許までとられているとのこと。おもてなしがお好きなことも合わせて、素晴らしい伴侶に恵まれて。しかもお見合いで。
アシスタントさんに恵まれていた様子もあり、それも漫画研究会「アズ」のおかげなんですね。下関という遠距離で原稿を送るのに苦労されていた面もありますが、一方で、そういうメリットもあったんだなぁと。もちろんその地ならではの題材を得た作品も描かれましたし。
文月先生の絵は背景がすごく上手で、特に自然や建築物だと絵画的でリアル、しっかりとした絵です。油絵をきちんと学ばれた方だったんですね。やはり海の絵がすごく印象的です。しかも売れっ子だったようで、カラーイラストもよくこんなに量産してたなぁという感じ。そりゃ忙しいに決まってますよね。
カラーの扉絵、片面のも見開きのも並んでるところがいいなぁと思います。原画ではなく、雑誌の掲載された扉絵であるところがいいんですよね。タイトルや煽り文も入っていて、これで「完成形」なんですよね。絵としては原画の方が美しいのですが、マンガ作品は読者に届けた形が最終形かなと思います。
現在は70歳、ご病気された後、回復はされたもののストーリーマンガからは遠ざかって、イラストを中心に少しずつ活動され、また畑や猫の面倒を見ながら暮らされているとのこと。ご家族とも仲良く、本当に幸せな老後で理想的ですね。原画展も開催され、サイン会なども開かれるようですが、これからもどうかお健やかにお過ごしください。
デビュー50周年記念 文月今日子展
2023年9月16日〜2023年11月26日
北九州漫画ミュージアム
【おまけ】
突然、(山本)順也さんが出てくるところ、びっくりしました。小学館なのに講談社の作家さんに?心配して‥というところが、らしいなぁと。