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映画「SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース」

この映画が引っかかったのはもちろん「ヴェンダース」製作総指揮というところではあるのですが、ヴェンダースに“Exective Producer”の肩書きがついた作品を全部見るのは(日本未公開のものもあるし)膨大な数にのぼるのでさすがに無理とスルーすることもよくあります。でもこの映画はあまりにも美しい映像で観たくなったので行ってきました。

ノルウェー西部の山岳地帯「オルデダーレン」で暮らす老夫婦を自然の風景の中に映したドキュメンタリー映画で、監督は夫妻の娘のマルガレート・オリン。「もしも建築が話せたら」でオスロのオペラハウスの監督を務めた人ですね。ヴェンダースとはその辺のご縁なのでしょう。

この湖の水の色!言葉になりません。四季によって違う色を見せる森の木々。白い氷河に時折現れる青い色。地面を歩くお父さんと一緒に撮った映像やドローンで空から撮った映像が組み合わされていますが、お父さんがいないとその大きさがつかめないんですよね。湖の色!氷河、森、オーロラ‥全部すごい。美しい。

フライヤーの上半分にも使われているお父さんが氷の上を歩いて行くシーンですが、割れそうなんですよ、ホント。そんな険しいところを歩いていて大丈夫?落ちない?転ばない?なんでそんなギリギリに立つの?といった感じでハラハラさせられたりしていました。子供の頃から歩いているから慣れているので大丈夫なのはわかってるんですが。

このご夫婦のおうちの全景が上から撮影されていますが、おもちゃのようなかわいらしさ。ドローンの映像が全部うっとりします。雪崩の音や流れ落ちる水の音、鳥や虫といった生き物の音にとてもこだわりが感じられます。

でも自然はやはり美しいだけではなく残酷な一面も。過去には雪崩で全滅した一家や亡くなった方が大勢いた話や、病院まで遠くて大変だった話なども出てきます。単なる自然賛歌ではなく、人間の一生も物語っている映画です。

パンフレットを読んだら、景色も北緯もとても寒そうですが、メキシコ海流のせいで実は極寒というほどではないとのこと。本当、観に行きたいですね。

「SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース」というタイトルは邦題。英語の原題は“Songs of Earth”です。なぜ“s”を削除したのか。語呂が悪いからか。おかげで最初、サントラが探せませんでした。さらに言うと、IMDbで原題を調べたら“Fedrelandet”。ノルウェー語で「祖国」というタイトルでした。忘れないようにしておかないと。残念ながらサントラは盤にはなっておりませんが、配信はされていました。

公式サイト

監督:マルグレート・オリン
製作総指揮:リブ・ウルマン、ヴィム・ヴェンダース
撮影:ラース・アーランド・トゥボス・オイモ
音楽:レベッカ・カリユード
出演:ヨルゲン・ミクローエン、マグンヒルド・ミクローエン


日比谷シャンテ
パンフレット

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