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有間しのぶ先生の「羊シリーズ」

【2024年11月1日追記】
「羊シリーズ」が単行本に!2024年12月12日に刊行されます!ありがとう!小学館!「ビッグコミックオリジナル」編集部!

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「羊シリーズ」は有間しのぶ先生が2021年~2024年にかけて『ビッグコミックオリジナル』誌で読み切り連載として断続的に発表したシリーズです。主人公は小鳥遊しえる、野川ときわ。二人の女性の長年のシスターフッドの物語です。小学校のときに一緒だった二人が、大人になって再会して一緒に暮らしながら、お互いをいたわり合う優しい物語ですが、毒親と児童虐待が色濃く陰を落としています。

「羊シリーズ」と勝手に呼んでいますが、「“羊”たちが寄り添うシリーズ」と記載されています。長いので省略しただけです。第1作目のタイトルに「羊」とついています。“羊”は子供の頃のしえるの絵本に描かれていました。

有間先生がこの作品をつくった動機は何だったのかもちろんわからないのですが、描いたきっかけは「コロナ」だったのではないかと思うのです。二人の女性の人生と世相を密接に絡ませて描いた物語です。

『ビッグコミックオリジナル』の本誌と増刊号に読み切りシリーズとして掲載された以下の6本がこのシリーズの作品ではないかと思います。他にあったかもしれませんが‥。

1.「羊が金の星をとぶ」

『ビッグコミックオリジナル』2021年第14号/2021年7月20号 p145~172(28p) 

が金の星をとぶ

小学校のときの二人が出会った頃のお話。それからときわが大学卒業後、小さな衣料品会社に就職して営業として働いていて1年目、しえるが訪ねてきて一緒に暮らし始めます。そこからさらに時間が飛んで、2021年になってコロナ禍の二人の暮らしが描かれます。

2.「仔羊ソワレ」

『ビッグコミックオリジナル』2023年第4号/2023年2月20日号 p173~194(22p)

仔羊ソワレ

前作から半年後の2013年、23歳のしえるがポールダンサーとして活躍しています。ポールダンサー、美しくも大変な仕事だなと思いました。

3.「銀河コロッケ」

『ビッグコミックオリジナル』2023年第18号/2023年9月20日号 p263~284(22p)

銀河コロッケ

最初は2001年の「しし座流星群」の夜ですが、しえるがまだ子供の頃のお話。2014年、今度は「ベルセウル流星群」がきたとき、しえるはポールダンサーとして活躍しています。

4.「Noberry Forest」

『ビッグコミックオリジナル』2023年11月増刊号/2023年11月12日号 p187~208(22p) 

Noberry Forest

2014年のお話。しえるは仕事で起きた出来事がきっかけで過去を思い起こし落ち込みますが、のえるが支えています。

5.「ここは彼方のはじまり」

『ビッグコミックオリジナル』2024年第3号 2024年2月5日号 p243~272(30p) 

ここは彼方のはじまり

2016年。二人が一緒にこれまで暮らしていたのとは別の部屋へ引越をする直前のお話。小学校のときの同級生男子と偶然再会することで、しえるはまた過去を思い出す。その話を聞いたのえるが実家に帰り、そして2001年からの世界の事件を遡っていく。これは被害の連鎖のお話でもあります。

6.「Love & Peace Piece」

『ビッグコミックオリジナル』2024年3月増刊号 2024年3月12日 p223~246(24p) 

Love & Peace Piece

2016年。二人が新居に引っ越した直後のお話。しえるの芸名がなぜ「ソワレ」なのかわかります。2017年のお正月を最後に物語は終わりを告げます。

二人は1990年の生まれだと思うので、2024年なら34歳です。おそらくまだ二人は一緒に暮らしています。二人に色恋の話が出てこないのもこの物語のいいところだなと思います。148ページなので単行本1冊分には若干足りないのかもしれませんが、出来ない話ではないですよね。単行本化よろしくお願いします。


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