畠山美由紀スペシャルライブ IN BAROOM with 川口大輔&藤本一馬
2024年5月24日(金)19:30~21:30
BAROOM(東京都港区南青山6-10-12)
南青山七丁目の交差点にあるBAROOM、初めてきました。渋谷から六本木通りを一直線です。円形の劇場型のようなライブハウスです。完全な円ではありませんが、3/4くらいの円ですね。2022年5月オープンとのことで、まだ新しめ。約100人収容のホールをもっています。そのホールの周囲をぐるっとバーが囲んでいます。日本コロムビアの親会社であるフェイスが運営する文化発信スペースとのことでレコードの量がすごい。
【東京・南青山/BAROOM】円形ホールを備えた大人のカルチャー発信基地へ
ライブの方は、第一部は冨田恵一作曲の作品群。最初に二人が出会ったのが冨田ラボ「Shipbuilding」(2003)に入っている「耐え難くも甘い季節」。私もこの曲で畠山さんと出会えたので、思い入れが深いです。その後「WILD AND GENTLE」(2003)で3曲、「Wayfarer」(2018)フルプロデュースという流れになるのだけれど、冨田恵一のアレンジは本当に音が華やかに、洗練されていて、ゴージャスだけどうるさくない。
最初はアルバム「Wayfarer」から1曲目の「BLINK」。この独特の“ゆらぎ”が冨田ラボっぽい、好きな曲です。次の「罌粟」は「風街オデッセイ2021」で深紅のドレスを着て歌っていた畠山さんを思い出します。冒頭から「毒薬だね」って色っぽすぎて、どうやって歌えばいいのかわからなかったけれど、歳を経るにつれ、わかってきたような気がするとMCがありました。何千曲もある松本隆の詞の中でも特に素晴らしい詞の一つに入るのではないかと思います。主に「Wayfarer」からの曲が続き「海が見たいのに」で締める、素晴らしいセットリスト。
3人での演奏ですが、ギターとピアノと川口さんのコーラスで広がるようなアンサンブルを奏でていました。でも私はわりと長い年月、一馬くんを見ているのですが、あんなわたわたした感じなのは珍しい気がします。いつも淡々とギターを弾いているのに。さすがにプレッシャーなのかな…。何しろ冨田恵一氏、しっかり見に来ていました。目立つ風貌なのですぐにわかります。あと、ノーナ・リーブスの西寺豪太さんのことだけわかりましたが、他にも多数ミュージシャンほか関係者がいらしていたように思います。
第二部は3人とも好きなブラジル音楽と畠山さんのオリジナル。1曲目の「Eu Sei Que Vou Te Amar」は作詞がヴィニシウス・デ・モラエス、作曲がジョビン。「あなたを愛してしまう」という繰り返しの歌詞のある熱烈なラブソング。畠山さんも色気たっぷりに歌います。
2曲目のエスタテ(夏)はジョアン・ジルベルトのこれも名曲。夏に向かって歌いたくなったとのこと。難しい曲でも有名なジョビンの「三月の水」。少しでもブラジル音楽かじってるシンガーだと歌うときが来る…って思っていたら、先だっての沖縄での川口さんとのライブで演奏したとのこと。ポルトガル語の話者でも難しいけれど、日本のシンガーもみんながんばって歌ってますね。エリス・レジーナとジョビンの掛け合いがかわいい。YouTubeにあがっていると思います。一馬くんはorange pekoeで演ってますから慣れていますね。
畠山さんのオリジナル・パートはまずは「rain falls」から「叶えられた願い」。「真夏の湿原」は釧路湿原を走る汽車のイメージだというMCが入ります。“くしろ湿原ノロッコ号”のことでしょうか?雄大な風景の中を走る列車が想い浮かぶ詞。列車に乗りたいのではなく、列車が走っているところを見たいです。「わが美しき故郷よ」そしてアンコールの「歌で逢いましょう」。畠山さんらしい叙情的な曲です。オリジナルはしっとり歌ってくれました。
いいライブでした。冨田ラボの曲はなかなか出来ないので、チャンスがあれば再びお願いします。畠山さんがおもしろい場所でライブをやってくれるので、私もおもしろい会場に行けてありがたいです。
vo:畠山美由紀
p,key:川口大輔
g:藤本一馬
第1部
Blink (Wayfarer)
耐えがたくも甘い季節 (Shipbuilding)
会いに行く (Wayfarer)
罌粟 (WILD AND GENTLE)
フルデプス (Wayfarer)
ソングライン (Wayfarer)
海が見たいのに (WILD AND GENTLE)
第2部
Eu Sei Que Vou Te Amar〔Vinicius / Jobim〕
Estate 〔Joáo Gilberto〕
叶えられた願い (rain falls)
真夏の湿原 (WILD AND GENTLE)
Águas de Março〔António Carlos Jobim〕
わが美しき故郷よ (わが美しき故郷よ)
en.歌で逢いましょう (歌で逢いましょう)