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店主としてのマイルール
ひっそりとした森の中で喫茶店を営んで18年目。
オープン当初からずっと、店を営業するうえで自分で決めていることがいくつかあります。
誰から教わったわけでもない、その自分だけのルールの一つがこちらです。
繁盛した日に、大盤振る舞いやサービスをし過ぎないこと。
閑古鳥の日に、ケチケチしたり、追加注文を促したりしないこと。
そして常連様に連絡してご来店を誘ったりしないこと。
当たり前のことなのかもしれませんが、上記のことを心がけています。
大繁盛の日には、どうしても気が大きくなって気前良くなりがちです。
さらに気分も良くて忙しいので、細かいことがどうでもよくなり、「おかわり珈琲はもう無料でいいかも」なんて思ってしまうのです。
でも、ぐっと気を引き締めます。
ここで引き締めることが、大切な気がするから。
そして忙しい時こそ、伝票の数字はキッチリと確認し、売り切れのお詫びは心を込めて、会計時のお客様へのお礼も丁寧に伝えるよう努めます。
いつもよりお客様が多いと、こちらの配慮の行き届かない部分が必ずあるからです。
逆に閑古鳥の日は、数字のことは気にせずどーんと構えて、サービスも気前よく行こうと心がけます。
内心では暇ですからいくらでも悲観的な想像が次々と頭に浮かぶし、売上の計算も簡単なので、営業中につい「今のところ売上たったの〇〇〇円」とカウントしては不安と焦りに苛まれますが、でも、気にしない(ように努めます)。
優しい常連様の顔を思い浮かべては、「来てくれないかな~」と誘いたくなったり、通りがかったご近所さんを呼び込みたくなったりするけれど、ここでもぐっとこらえます。
お義理でご来店してもらうのは違う気がするし、このヒマ地獄をいかに過ごすのかを、実は試されているように思うから。
あ、でも一度だけ、大雪の日に姉に頼んでお客様になってもらったことがあります。ごめんなさい。
そして、閑古鳥の静かな営業日にこそ、ご来店くださった数少ないお客様に、甘いものや果物などをサービスします。
暇な時こそ、忙しい時に疎かになりがちな、ちょっとした配慮と手間を駆使するのです。
もし当店で、唐突にお菓子や果物がサービスされたら、その日当店は暇ってことです。
こんなふうに、自分で勝手に決めていることはいくつかあって、これが功を奏しているのかどうかはまったくわかりませんが、とりあえず17年以上続けられているのでヨシとしております。
以前記事にしたこちらも、マイルールと言えばマイルール。
他にも、お客様との関係性や距離感について決めていること、店での会話で気をつけていること、出入り禁止について考えていること(出禁はまだ発動したことはありませんが)、バイトの条件、等々、勝手に決めた自分なりのルールはいろいろあって、いずれまたご紹介するかもしれません。
こうして挙げてみると、「店」と「note」は重なる部分が多く、似ているなあ、と思います。
どちらも様々な人が集い、交流する場所です。
そういえば、noteを始める時にも自分なりのルールをいくつか決めておりました。
「どんな記事を投稿するか」とか「必ず読んでからスキをする」とか。
どの世界にもいろんな方がいらして、時おり戸惑うこともありますが、でも人それぞれルールが違うのが当たり前ですから、店でもnoteでも、できるだけ自分のルールを大切にしつつ、おおらかに構えるよう心がけています。
そして、同じルール(考え方やマナーなど)なのだなあ、と感じる方には心惹かれて、信頼感と安心感を抱きます。
限られた狭い自分の日常生活圏内では知りえなかったであろう、様々な人々と出会うことができる「店」と「note」。
どちらも、非社交的なわたしにとって難しい世界ではありますが、多くの刺激と喜びとやりがいを与えてくれます。
自分のルールに則って、その上で適宜相手に合わせた調整をしつつ、できるだけ心地よく、楽しく続けていけたらいいなと願っております。