クリスマスプレゼントをあげて得るもの
12月25日の朝である。
時刻は6時20分。朝食を終え、悩んでいた。
「子供たちのクリスマスプレゼントをどこへ置こうか?」
我が家には小学校6年生の姉と、2年生の弟の二人がいる。
通常なら、そっと枕元に置いておくのだろうが、人一倍繊細な我が家の子供達は、目を覚ましてしまう危険性が高い。
そこで近年はプレゼントを隠しておき、それぞれの食卓の上にヒントを書いたサンタからのメッセージを置いて、探し出してもらうようにしている。
しかし今年は疲れていて、若干めんどくさい気持ちが芽生えていた。
「フツーに食卓の上に置いとこうかな」
甘い誘惑がよぎる。
子供達はこの宝探しシステムを気に入っているようで、去年姉の方は「またこれやって欲しいわ」とサンタに向かって言っているようで、明らかに私に言っていた。
「はぁ、隠し場所を考えるのもめんどくさい」と思っていたところに、ふと姿見が目に入ってきた。
そこでパッと閃いたのが「プレゼントは君のいるところに置いてあるよ」というヒントだ。姿見の下はちょうどソファで死角になって見えない。
これで俄然やる気が出てきた。
「推理小説いけるかも」と、弟のプレゼントはそこに隠す。
姉の方はどこにしようか。
少し考え、閃いたのが「にぎやかなのに、ここでは静かな物の上にあるよ」というヒントだ。
これは買ってからほとんど使われていないピアノのことで、「もうちょっとやったら?」という皮肉がこもっている。
それぞれのプレゼントを隠し終え、満足して顔を洗いに行ったら、5分も経たないうちに子供達が起きてきた。
弟の方は洗面所までかけてきて、キョロキョロしている。
「おお、どうした?早起きやな」
名演技で尋ねる。
しかし全く耳に届いていないようで、「プレゼント、プレゼント・・」とブツブツ言って去っていった。
どうやらヒントについて考えるつもりはなく、ローラー作戦で隠していそうなところを片っ端から攻めているようだ。
「ちょっとは頭を使うようになってもらいたい」そう思った私は、「このメッセージどういう意味やろなぁ?」と注意を向けようとするやいなや、「あった!」と床に這いつくばっていた弟が声をあげた。
・・・・「鰯で精進落ち」こういうことを言うらしい。
一方、姉の方はヒントをじっと見てから、スタスタとピアノの方へ向かった。
プレゼントを手に戻ってきた顔は、ニンマリしそうな顔を我慢して、反動で鼻の穴が膨らんでいる。
小躍りしている弟の姿と、鼻の穴を膨らませた姉。
少し疲れが飛んだ気がした。
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