ポイントカード再考
物事には当初の考えからずれていき、いつしか形骸化してしまう、なんてことはよくあることだろう。
当店では、コーヒー豆の購入時に付与するポイント制度がそれに当たる。
どういったものかというと、コーヒー豆を100g購入していただくと、スタンプを1つ押し、合計で20ポイント貯まるとコーヒーが1杯無料になるサービスだ。
始めた当初は、定期的に買いにきてくださる方に何か還元できないかという思いと、いつも豆だけ買いにきてくださる方とお話する機会を設けたいという思いであった。
しかし、思ったほどは利用されず、どんどんカードだけ貯まっていく方が増えてしまった。それでは申し訳ないということで、途中からコーヒー豆100gとの交換もできるようにしたのである。
お店の側としても、だんだんと当初のお客様とのお話しする機会というのが忘れられ、単なる販促サービスという感じになってしまった。
そこで私の中に何とも釈然としない気持ちが芽生えてきたのだ。
アマゾンや楽天がやっているようなことをウチがやってもしょうがない。
どうせなら心が温まるようなサービスにしたい。
そこで考えたのが、「サンクスカード」である。
ポイントが貯まるとコーヒー1杯が無料になる。これは今までと変わらない。
ただ今回は新たに「コーヒー1杯無料券」を発行してお渡しする。
その券にはメッセージ記入欄があり、他の人にメッセージを入れてお渡しできるようにデザインされている。
もちろんご自身で利用していただいても結構だが(その場合はお店からメッセージを入れたいと思う)、日ごろ感謝の気持ちが言えないような人にメッセージを書いて渡していただくと嬉しい。
何かしてくれたお礼に渡すのではなく、パートナーや友人など自分の近くにいてくれる存在に感謝するような。
こういったギブする習慣をお店から積極的に発信していきたいと思うのだ。
「ええ?誰に渡したらいいか思いつかない」という方には、お店からお題を出してもいいだろう。
例えば、「刺さる一言をくれた人」とか、「会うだけで元気をもらえる人」とか。
お渡しする際に、「お店からこういう人に渡せって言われて」となれば気持ちが伝わり、話も盛り上がるのではないか。
もしくは、貯めたお客様から逆にカードと一緒にお題(「同郷の〇〇県出身者」や「おもしろい話を提供してくれた人」など)を預かり、スタッフの判断で該当者に1杯おごるというのも面白そうだ。
貯まった人はギブする喜びがあり、もらった人は感謝されて、コーヒーが飲めるから嬉しい。お店としても気持ちがいいし、新しいお客さんになってもらえる可能性もある。
この三方良しのカードをぜひ利用していただきたい。