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恥ずかしい卒業式の想い出

「私の小学校時代とは随分変わったなぁ・・・」
袴姿で卒業式にでる娘をみて、時代の変化を感じてしまう。

私が小学校を卒業するときは袴姿の子など一人もいなかった。
それどころか、保護者でさえ着物を着てくる人は1、2人くらいだったと記憶している。

それが京都という土地柄のせいか、女の子の半数ぐらいは袴を着ている。
最初は袴で出席するというのを聞いて、「えっ、小学生で必要ある?」と思ったのだが・・・。

そんなことを考えながら、自分の卒業式の日を思い返していた。

私も一応は「よそ行き」の服を着ていた。
襟付きのシャツの上に買ってから初めて着る薄紫のトレーナー。下も真っさらな白のズボンだ。

しかし、手にしていた「カバン」は最低だった。

卒業式に持ってくるものが書かれたプリントに「卒業証書を入れる袋」とあり、私は夏休み前の工作物を持って帰る袋と同じ感覚で、大きめの「そごう」の紙袋を持って行ったのである。

周りを見渡せば、デパートの紙袋を持って卒業式に出ているヤツなど一人もいない。
普段はヤンチャな友人でさえ、まともなカバンを持ってきていた。

「しまった。完全に読み違えた」

時すでにおそし・・・。

卒業証書を受け取った私は、そのまま保護者が作るアーチの待ち構えるグランドに出たのである。

「みんな、俺を見ないでくれ」

大勢の拍手のアーチも、思春期を迎える若者には残酷であった。

後にそのときの写真を見て、さらにショックを受けることになる。

当時は神戸市の公立中学校の男子は全員丸坊主にしなければいけなかった。
そのため「どうせ卒業したら、坊主にするんだから」と2ヶ月以上床屋にいかず、ボサボサ頭でソフトな寝癖までついていたのだ。

さらに床屋で顔剃もしていない状態だったので、口元にはうっすらと産毛のヒゲが目立ち、いわゆる「老け顔のモッサイ男」が、そごうの紙袋を持ってうつむき加減で歩いている姿がそこに写っていたのだ。

もはや卒業式というより、秋葉原の路上がお似合いである。

小学生の袴姿は賛否両論あるけれど、少なくとも「そごう」のバックよりはマシだよな・・・。

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