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うっかりクソデカレンズを買ってしまった話
前回記事のラストにしれっと貼りましたが、クソデカレンズを買ってしまったので、そのお話です。
購入したレンズはSIGMA 50mm F1.4 DG DNです。
ほんとうっかりでした。
実質初心者レビューで語彙力が足りないですが、頑張って紹介していきます。
購入のきっかけ
ノリと勢いが8割です。
クソデカレンズとの出会い
こういう大きい単焦点レンズとの出会いは、fp使いのクソデカレンズ伝道師に紹介されることで随分前に済ませていて、その描写性能の高さは体験済みでした。
体験済みとはいえ、当時は自分にはまだ不要かなと思っていました。
つい最近になり、また別の知り合いがLマウントに鞍替えしたのをきっかけに色々レンズを買ったということで、いくつか気になっているレンズを試させてもらいました。
そのうちのひとつが今回購入したレンズの先代モデルである50mm F1.4 DG HSMだったのです。
自分がよく使う標準域の高性能単焦点レンズを使ったのは初めてだったのですが、そのレンズの使い勝手の良さと性能に感心してしまい、これは購入するしかないなと思った次第です。
これがちょうど先月の出来事。
実は他のレンズを購入するつもりだった
28-70mmの弱点を埋めるためというのと、新しい表現を試してみたくなり、本来は広角ズームレンズを購入するつもりでした。
パナの新しい18−40mmか、シグマの16-28mmかなぁ〜なんて考えていましたね。
価格は前者が8万円くらい、後者が11万円です。
安い買い物じゃないので、よく考えて春くらいに買おうかななんて思っていました。(ここまでまだ冷静
そこに大口径標準単焦点が殴り込んできたのです。
50mm F1.4 DG DNについて
コスパが良い
このレンズはシグマレンズの上級ラインであるArtシリーズのレンズです。
上級というと高そうなイメージがありますが、こいつはなんと13万円を切っています。
ちょっと凝ったズームレンズを買う価格程度でArtシリーズの高性能レンズが買えてしまうのです。
ちなみにその辺りで手に入るLマウントの50mm単焦点といえば、パナのSシリーズ(5万円くらい)、S PROシリーズ(20万くらい)、シグマのContemporary Iシリーズ(9万くらい)、ArtシリーズF1.2(22万円くらい)と、シグマF1.4以外にもたくさん選択肢があります。
30万円オーバーですがライカのズミクロンもありますね。
その中でも特に写りが好みだったのがシグマArtのF1.2とF1.4でした。
F1.2はさすがの20万円越え(それでも内容考えると安いっぽい)だったので、性能は素晴らしいものの盛大に予算オーバー……。
それに近い性能で価格が9万円ほど安いのがF1.4モデルです。
ライバルと比較する
カメラ屋さんで色々レンズを試してみると、単焦点なだけあってどれも高性能でしたが、やはりデカくて重い単焦点レンズは写りが一味違います。
F1.2やF1.4といった明るさはもちろんなのですが、絞って撮っても被写体の存在感が素晴らしいものばかりですね。
パナソニックのS PROは写りがやや柔らかめに感じました。
柔らかいといってもコントラストが弱いとか描写が甘いとかそういうわけではなく、シグマのシャープな写りとは違うという意味です。
特に背景ボケは柔らかく濃密で、シグマの滲むような感じとはまた違った落ち着いた印象を受けました。
もちろんシャープネスが不足しているなんてことはなく、撮った写真を舐め回すように見てみると中央部はもちろん、四隅まできっちり写っています。
この点はシグマF1.4よりやや優秀だと思います。
店頭で試す分には欠点らしい欠点は見つけられなかったので、素晴らしい高性能レンズだと思いました。
シグマのF1.2は、そのF値からシグマのフラッグシップであることがわかるレンズです。
開放でももちろん使えますし、新しい表現の可能性を感じる、トップレベルのレンズでした。
ただ、F1.4すら未体験なのに、F1.2のレンズを買ってもしょうがないんですよね。
これのありがたみを感じるには段階踏んだほうが良いタイプだとなんとなく思いました。
そうなるとシグマの50mm F1.4が第一候補となり、価格を見てみるとこれまた現実的で、購買意欲に火がついてしまったのです。
なんで僕は入ったばかりのお賃金を握りしめて今カメラ屋の前にいるの?
— 花見川 (@hanami577) January 26, 2025
購入予定だったRTX5090がアレだったのもある
旧モデルと比較する
旧モデル、50mm F1.4 DG HSMは、先ほど書いた通り、クソデカ50mm単焦点を買おうと思ったきっかけになったレンズです。
せっかく買うならどっちか気に入った方を買おうと思い、カメラ屋さんで中古のHSMモデルと現行のDNモデルを比較しました。
まず1番違うのがサイズですね。
DNの方が圧倒的に軽いです。
調べてみると235gも違うようです。
LマウントのHSMモデルはなんと905gもあります。
対してDNモデルは670gと、S9を込みで考えても1.1kg程度となります。
自分が気軽に持ち出せるカメラは1kg程度だと思っていたので、まだギリギリ耐えられそうなのがDNモデルでした。
性能的なところではHSMモデルの方が分かりやすく良い点がありました。
それは口径食の少なさです。
個人的にはわりとどうでも良い要素でしたが、気になる人は気になるらしいので、この点はHSMモデルの方が明らかに良いと思います。
各種収差もボディで補正できる程度ではあるものの、HSMモデルの方が優秀そうでしたね。
詳しくは他所のレビューで散々語られているので、そちらをどうぞ。
それ以外の描写面ではDNとHSMで大きな違いを感じることはできませんでした。
というよりどちらも高性能でスゲーという感想しか出てこなかったです。
価格面ではHSMに軍配が上がります。
中古品がなんと6万円台から手に入るためです。
DNは中古品が少なく、あってもそれなりに高いのですが、HSMは安いものが結構あります。
半額近いのでちょっと靡きそうになりましたが、7万円程度出して買ったところで、重くて使わないんじゃ意味ないよなと思い、最終的にDNモデルに決めたのです。
やっぱ軽さは正義ですよ。(ズームレンズより重い単焦点レンズを振り回しながら
50mmF1.4 DG DNを使ってみて
っつーことで、思い立ったら吉日ムーブをかまし、カメラ屋さんで購入しちゃいました。
春頃に余裕あったら買うとか言ってたけどあれは嘘です。 pic.twitter.com/kI9yXCcLl6
— 花見川 (@hanami577) January 26, 2025
デザイン
Contemporaryシリーズとぱっと見は共通のデザインですが、一部が金属の削り出しパーツになっており、高級感が高まっています。
が、個人的にはContemporaryシリーズの方がややマットな質感で手への馴染みが良くて好きです。
私がカメラのレンズに求める高級感は、目で見てわかる部分よりも、スムーズかつ確実に操作できて、握った時に鏡筒の剛性感が感じられるかどうかというところですから、それを満たしているContemporaryシリーズのレンズで十分高級感を感じます。酷いやつはマジで酷いからな…!
Contemporaryシリーズと違うのは素材だけではなく、スイッチの数が増えていて便利になっています。
それらの中でも、特にFnボタンの存在はS9ユーザーにとってはかなり大きいんじゃないかなと思います。
なぜなら、絞りリングとFnボタンをうまく使うと本体側のダイヤルとボタンがひとつ空くので、マニュアル操作が現実的になるからです。
ただ、レンズを交換すると操作系がごちゃごちゃになっちゃうので、ユーザープリセットで簡単に切り替えられるようにしておいた方がいいかもしれません。
スイッチ類はとても操作しやすいです。
起毛裏生地の革手袋越しでも構えたまま問題なく操作できます。
冬場は助かりますね。
この辺りは上級ラインというか、プロ向けのレンズだなと感じるところです。
それと、レンズフードがすごく使いやすいボタン脱着式だったり、セミハードのケースが付属していたり、上級ラインらしく付属品がちょっと豪華なのもよかったです。
サイズと重量
散々試してイケるとなって購入したわけですが、実際に散歩に連れて行くまで、やっぱ重くてキツいんじゃないかという心配はありました。
で、実際に首から下げて散歩へ連れて行ったところ、全く辛さを感じることはありませんでした…!!
首から下げて1時間ほどフラフラ歩いても首や肩が痛むことはなく、これなら気楽に持ち出せるなと。
ただ、28-70mmと50mm単焦点の両方をカバンに入れると、まぁそこそこ重いな…となったため、持ち出す時はどちらか片方にしようと思います。
特にバイクに乗る時、両方のレンズをカバンに入れて背負うと肩こりしそうです。
カバン背負ってるだけでも邪魔なのに、これ以上荷物を増やしたくない……。
重量以上に気になるところはサイズです。
小型軽量になったといっても、やっぱデカいです。
一応、S9と合体状態で汎用ソフトケースにギリギリ収納できましたが、それをカバンに突っ込むと、28-70のズームレンズの時よりも他のものを入れる余地が明らかに減りました。
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これ単焦点で、ズームレンズじゃないんですよって言うと笑われます。
それと、S9にこのレンズを装着した状態で机に置くと、レンズとボディの下端がちょうど同じくらいになります。
レンズフードをつけているとちょっとアンバランスですね。
同じコンパクトフルサイズ機でも、fpはこういうデカいレンズも似合いますが、S9には似合いませんね。
fpは独特の”ギア感”があって、オプションパーツや大きなレンズが付いていても道具として正しい形に見えるのですが、S9のデザインはネオレトロというか、従来のカメラの形を保っているから、こういうデカいレンズを取り付けると急にゲテモノ感が出てしまいます。
まぁそれはそれとして、おもしれーからヨシ。
肝心の写り
もう本当に大満足って感じです。
誰が言い出したのかは知りませんが、本当に被写体が浮いてくるような描写です。
開放時の中央部はしっかりとしたシャープネスです。
隅の方へ行くと気持ち甘くなりますが、28-70mm F2.8DG DNよりはずっと少ないでしょう。
また周辺減光もそれなりに発生します。
この特性を活かすといい感じのトンネル効果が生まれるので、何も考えずに日の丸構図で撮るだけで大変いい感じになります。
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周辺減光がめっちゃいい感じに効く。
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少し絞ってF1.8。
葉や花弁の表面のテクスチャまでバッキバキに写ります。
触っていなくても質感を想像できる、凄まじい存在感です。
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50mmの使い勝手とその良さ
50mmは人の視界に近いと言いますが、実際使ってみると、何かを注目している時の人の視界に近いなと思いました。
そのため、これいいじゃんと思ったものを自分の視界から切り取るように撮影することができます。
使い勝手でいうと40mmとか35mmとかもうちょい広角な方が良いと思いますが、50mmの方がわかりやすい写真になるような気がします。
で、F1.4ですから、背景がアホみたいにボケます。
人物の表情を捉えるようなポートレートでは望遠レンズが良いとか言いますが、50mmで寄って撮るのも素敵だと思いますね。
ちなみに飲食店テーブルフォトは無理です。
飲食店の座席で使うような取り回しではないということに加えて、50mm、そして最短撮影距離が45cmもあるので、席から立たないと撮れません。(一応50mmの単焦点レンズとしては標準的な最短撮影距離です)
まぁ、屋外ではそれを補って余りある描写性能を楽しめるので、食事の時くらいはカメラを置きましょう。
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絞って風景写真。
拡大してよく見ると影で染まった建物のディティールが生きています。
広角とはまた違った迫力で撮れるので、お散歩スナップに持ち出すレンズとしても選ぶ価値があるなと思いました。
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明るいレンズなので当然ながら夜間でも扱いやすいです。
深夜徘徊に最適なのに、デカさがあまりにも不審なので、職質には気をつけましょう。
28-70mm F2.8 DG DNと比べてみよう
先日紹介したマイファースト便利レンズである28-70mm F2.8 DG DNと比べてみましょう。
レンズ交換の際にカメラと照明の位置が変わってしまったので、色合いについては参考にならないかも。
F2.8
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50mm, F2.8, 1/60s, ISO400, 0ev
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50mm, F2.8, 1/60s, ISO500, 0.3ev
同じF2.8で比較すると、28-70の方は線が太いというか、ピント面も含めて若干の甘さを感じます。
衣装のテクスチャの違いを見るとわかりやすいでしょうか。
それと、こうして比べてみるとよく分かりますが、28-70の開放は周辺から四隅にかけてが流れて甘くなりやすいです。
その甘さのおかげか少し落ち着いた雰囲気に見えますから、使い方次第のような気もします。
で、今回のF1.4単焦点レンズですが、F2.8まで絞ればもうほぼ全域でシャープで、線が細く見えますね。
目元や唇のメイクに注目してみてください。
繊細なフェイスメイクや細かいホコリなど、肉眼で見るのに苦労するような部分まで映っていました。
また、ズームレンズの方は左端に写るウィッグの毛の描写が流れてしまっていますが、単焦点レンズの方ではわりときっちり映っています。
50mm F1.4 DG DNはF2.8程度からピーク性能が出ていると思います。
ただ、開放からF2あたりのピークを外した絞り設定であっても、ズームレンズのピークよりもシャープな写りです。
色々撮ってみた感じ、F2.8からF8くらいまでは全域バッキバキで、ピーク性能のレンジが広いレンズだと思いました。
店頭でのお試しレベルだと、お安い単焦点レンズはズームレンズとの違いが開放の明るさくらいで、それ以外に
写りにクリティカルな違いが感じられませんでした。
もちろん周辺部の甘さなんかは単焦点の方が少ないのですが、わりと高性能なズームレンズを持っているのにわざわざ買うほどかと言われたら微妙なところで。
ところが、デカくてまぁまぁ高いレンズから先は明らかに写りが変わります。
わざわざこんなにデカい単焦点レンズを買った意味があったというものです。
しかし、これから単焦点レンズを増やすぞとなった時に、求める性能がこれ基準になってしまいそうなのはよろしくない……。
開放ではどうなの
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50mm, F1.4, 1/60s, ISO125, 0.3ev
前回ラストに貼った写真ですが、開放で撮るとこんな感じです。
ドール撮影では顔の半分がフォーカスから外れるような凄まじいボケが楽しめます。
周辺部はF2.8設定よりは流れ気味ですが、それでも28-70の開放よりはしっかりしていますね。
その代わり、右上あたりの光ボケにはしっかり口径食が発生しています。
玉ボケ至上主義だと死ぬ。
コスパが良い(2回目)大口径単焦点レンズ
価格帯としてはミドルクラス程度ですが写りはハイクラスということで、大変コスパが良いレンズだと思います。
カメラ初心者でもバッチリ楽しめる高性能です。
シグマの他の焦点距離のF1.4レンズも同じくらいの価格なので、50mm以外の焦点距離のものが欲しいという方もニッコリできるでしょう。
デカくてちょっとな〜と思う方もいらっしゃると思いますが、S9やfpのようなコンパクト機との組み合わせでは十分実用的な機動性があります。
ユーザーの方にはぜひ試してみて欲しいですね。
買って良かったところ悪かったところ
最後のまとめです。
良かったところ
10万円以下クラスと比べて圧倒的に写りが良い
持ち出すのに現実的な重量
サイズから繰り出される”買っちまった感”
ボタンやスイッチの多さに加えて、それらを含めた操作性
将来的に高画素機を手に入れても使えそうな確かな性能
コスパが良い
悪かったところ
重量はともかくサイズがデカいのでカバン容積を圧迫しがち
旧モデルに完全勝利できるわけではない
初心者が手を出すと単焦点レンズに求める性能のハードルが上がってしまう可能性がある
ズームレンズとどっちを持ち出すか悩んでしまう
次こそは広角ズームを手に入れたい
いつになるかは分かりませんが、次こそは本来の目的であった広角ズームレンズを手に入れたいですね。
今回高性能単焦点レンズを手に入れて使ってみて、また単焦点レンズを買うのも良いなとか思っている自分を律したいところです。
まぁ、次に欲しい単焦点レンズはちょっと高すぎてしばらくは買えないと思うんですが。(ライカの35mm!! 中古で30万円!!)
次回の記事内容はまだ決めていないですが、カメラ以外のネタにしたいなと思っています。
それではまた。