CAEの暗黙知とは何か ~数値解析作業に暗黙知はない、あるのは単純作業を暗黙知としている思考停止状態である

CAEを自動化するうえではCAE作業の暗黙知を形式知化する必要がある。今回はCAEの暗黙知について考えてみる。

まず、CAEについて数値解析作業と抽象化⇔具象化のプロセスを分けて考える。前者の数値解析作業については本来暗黙知は存在しないと私は考えている。それは、数値解析作業は極めて数学的で数値的な操作であるからである。すべての作業は数値として記述可能で、同じ数値を入力すればだれでも全く同じ結果を得ることができるためである。しかし、多くの作業者は特にメッシュ作成において感覚的に操作、作業を行っている。その点においてCAEは作業者に依存した暗黙知の行為であるといわれる。しかし、これは本来数値で表せるにも関わらず感覚的に操作してもできるがために暗黙的に作業しているに過ぎない。この暗黙的な作業であってもすべて数字で記述可能であり操作履歴をたどればだれでも同じものを作ることができる。しかし、これらの前提は同じ形状、同じモデルであればということになる。多くの場合、似たような形状について作業を行うことになるため、全く同じ形状に対して同じ作業を繰り返すということはあまりない。似たような形状について同じ作業を繰り替えす、ここに以前の経験を適用し同じ作業を繰り返すことになる。しかし、似ていたとしても形状が異なれば全く同じ操作にはならない。しかし、すべて同じ操作にならなくとも、似た操作、似た作業を繰り返すことになる。この、似た操作、似た作業を共通化することが数値解析作業における暗黙知の形式知化とする。

ここで考えることは、
・同じような作業を共通化部分と個別部分に分解すること
・共通化部分は数学的な条件を見出すこと
・個別部分も帰納的に共通化可能な条件を見出すこと
である。

作業を分解したらその次は判断を数値化する必要がある。自動化するためにはプログラミングが必須であり、そのためには曖昧な判断基準ではプログラミングできない。これは感覚的に決めているすべての量を、一つずつ数値化していく必要がある。ここにも暗黙的に行っている判断を認知する必要がある。

ここまでできればあとはプログラミングするだけである。私の経験からは、CAE作業において自動化できないものはないため、自動化できないのは作業を分解ができていない、もしくは判断基準を数値化できていないのどちらかである。この両方とも自己認識を高めることで、自分の感覚や暗黙知にアクセスできるようになる。

どうやって自己認識を高めるかは私の別のページで紹介しているので参照してください。



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