輪廻
生まれの貴賤、人生における逆らえぬ幸や不幸。
もし困難に直面した時に誰を呪い、誰を責めるのか。
生まれは選べない。災からも逃れられない。
誰かを恨むのは簡単である。
己のせいにするのも簡単である。
しかし傷が癒える事はない。
ただぼんやりとみている。
もし人生の前と後ろに更に続く人生があったならば。
人はそれを輪廻と呼ぶ。
己の人生の始まりをもたらしたのが己だとしたら、己の幸には何かの理由があるし、己の不幸にも何かの理由がある。
これは意味のない話だ。
もし人生という短い枠の中で自分の行いが何かしらの結果を導くのならば、この短い枠を少し広げて考えられれば一つの悲しみが減るかも知れない。