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CAEベンダーとの付き合い方

CAEはコンピュータを用いたシミュレーション技術であり、現代のものづくりに欠かせません。CAEのソフトウェアは比較的高価で専門的なため、企業ではCAEの実務担当者が自社の経営層やCAEソフトウェアのベンダーと折衝します。このとき実務者は、予算を認めない経営層や期待に応えないベンダーに不満を持つことがあります。しかし、経営層やベンダーを攻略すべき対象や仮想敵と捉えるのではなく、利害関係者として巻き込んでいく方がよいです。これは道徳や心構えの問題ではなく、そうすることが有利になるためです。

ベンダーとの関係構築

ベンダーとは双方の利益になる関係を築くべきです。会社間取引の経験が浅い担当者は、保守契約の打ち切りや他製品への乗り換えを示唆して、無償での追加対応を求めることがありますが、これは得策ではありません。たとえ一時的に成功したとしても、繰り返すとベンダーから通常の対応さえ得られなくなるリスクがあります。ベンダーにとっては、追加投資の見込みのある他の顧客に注力する方がビジネスとして合理的だからです。

したがって、ベンダーをネガティブな要素でコントロールしようとするよりも、ポジティブな要素でやる気にさせた方がよいです。追加導入を前提とした業務適用検証や、有償でのモデル作成など、対価を明確に示せばベンダーは適切に対応します。成果の社内外へのアピールや追加投資の可能性を示すと、より良い対応が期待できます。CAE担当者が成功することは、ベンダーにとっても嬉しいことです。次の投資の可能性が高まりますし、昇進して発言力が強くなれば、より大きな投資が期待できるからです。

ソフトウェア導入時の留意点

導入時には、必要なライセンスを適切に購入するのが理想ですが、初めてのソフトウェア導入や未経験の領域での追加導入では、ベンダーの提案を検討することになります。その際には、その提案に過大な期待をしていないか、ベンダーの説明に矛盾はないか、双方が語っていない部分は何か、自社の環境にも適用できるか、といったことに気をつけるとよいでしょう。そのソフトウェアのことを知らなくても、工学の知識があれば多くのことを判断でき、疑問があれば質問することが可能です。このときにベンダーの誠実さや技術力も評価できます。これらを怠って自社とのミスマッチを見過ごすと、導入しても効果が出ないおそれがあります。コンサルティングや材料試験のための予算が付かないなどの担当者以外が原因であっても、導入効果が出なければ周囲の人間は担当者の実力不足だと考えます。最終的には、自分自身できちんと判断することが重要です。

自立したエンジニアとして

CAEにエンジニアとして携わっていると、CAEのソフトウェアを特殊なもののように感じることもあります。しかし、CAEソフトも一般的なパッケージソフトも本質は同じです。このことは表計算ソフトのExcelを考えるとわかりやすいかもしれません。Excelは使用者のスキルによって、方眼紙から大幅な効率化を実現するツールに変わります。操作方法は講習で学べますが、例えばExcelで財務処理をするには財務の知識が必要です。実務のためのシート作成は自身で行う必要があります。シート作成を委託することもできますが、ソフトウェアの価格とは別に費用が必要です。そして、最終的に活用できるかどうかは使用者次第です。これらはすべてそのままCAEにも当てはまります。財務の知識が工学の知識、ExcelシートがCAEモデルに相当します。

結局のところ、CAEソフトもExcelと同じようなツールに過ぎません。CAEベンダーはこのツールをビジネスとして扱っています。ベンダーに過度に依存せず、自立したエンジニアとして必要なスキルや知識を持ち、うまく付き合っていくのがよいのではないでしょうか。

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