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自分の持ってるものだけで戦うしかないんだけど、自分の持ってるものだけに満足してしまったらダメだっていう話。(2)



↑これの続き。


就活を通して、人それぞれにエンジンが違って、そのエンジンの違いによって得意不得意・出来る出来ないがあると考えた僕は、自分の出来ることで勝負するしかないんだから、就活を通して見つけたこのエンジンを磨いていこうと思いました。


そんな僕の考えを変える出来事は思い出せないものも含めるといっぱいあると思います。その中でも象徴的な出来事が二つありました。


ガールズプラネット999

「ガールズプラネット999」というオーディション番組があった。今年の夏ごろから秋にかけて、日本だとabemaで独占配信されてた番組で、全くわからない人のためにわかりやすく言うとNizi project的なやつだ。日本・中国・韓国から33人ずつの少女がエントリーされて、さまざまなミッションをクリアしていって、9人のグループとしてデビューする権利を勝ち取るために頑張るみたいな内容です。気になる人は是非観てみてください。


観てみてくださいと言った直後なんですけど、ここからネタバレです。↓↓


まずこのオーディションのシステムを説明しなければならないんですけど、

99人のメンバーを絞り込んでいくのは、視聴者投票だ。視聴者は1日に一度好きな少女に投票することができる。

視聴者の投票以外にポイントを獲得する方法がミッションだ。ミッションで勝利すると、「ベネフィット」が与えられる。それは、単純に○○票分のポイントが与えられるという場合もあれば、投票された票が○○倍としてカウントされるという場合もある。

視聴者投票とベネフィット、この二つの合計ポイントが、その少女のポイントとして与えられる。毎回の脱落者発表式で、票の少ない順に何人かずつ脱落していく。

以上が、ざっくりとしたこの番組のシステムである。


この番組の中で、心が動きすぎて号泣してしまうほどだったシーンがある。


99人いた少女が18人まで絞られ、この中の半分が夢のK-POPアイドルとしてデビューできるという段階になってからのことだ。

最終結果発表のひとつ前のミッションは、18人を3つのチームにわけて行われた。各チームが同じ課題曲をパフォーマンスするのだが、その様子は6人それぞれその人専属の固定カメラで撮影される。いわゆるファンカメラって言われるようなやつです。その計18本の動画がYouTubeにアップされ、チームの6人の中で一番再生数の多い少女3人にベネフィットが与えられる。

この3チームのチーム分けなのだが、なかなか残酷なやり方だった。1チームは人気順1位から6位の6人。2チームは7位から12位、3チームは13位から18位だった。厳密に言うとその時点では人気順は発表されていなかったのだが、だいたい今まで発表されてきた票数の傾向から、人気順でチームが分けられたのは明白であった。1チームがデビューほぼ確組、2チームが当落上組、3チームが厳しいんじゃね組である。


ミッションの本番を迎える何日か前に、指導者(J.Y.Park的な人たち)を前にした中間報告が行われた。1チームから順に報告を行っていった。1チームはさすがの実力と、ここでベネフィットをもらってデビューを確実なものにするんだという気合いから、文句なしのパフォーマンスを披露する。

しかし、2チームは明らかにやる気が感じられず、ミスもするし、動きも鈍かった。ここで頑張ってもデビューできないんではないか。そんな想いがチームワークやクオリティに表れていた。指導者のみなさんは、このチームに対して叱咤し、「2チームでこれでは3チームが心配だ。」と漏らす。



そんな3チームの中間報告がこれだ

これぞアイドル、これぞエンタテイメントだ。はじけるような笑顔に溢れ、全員で大きな声で歌い、エネルギッシュなダンスを披露する。

1チームや2チームよりもスキル面では劣っているかもしれない。ベネフィットをもらえたとてデビューはできないかもしれない。そのベネフィットですら6人のうち1人しかもらえない。それでも彼女たちは、その時にそれぞれが持てる全力を尽くし、練習を重ね、助け合い、そして何より「歌って踊る」ということを一番楽しんでいた。


なんでこんなに輝いているんだろう。なんでこんなに感動させられるんだろう。スキル以上の光が、彼女たちからは出ている気がした。その正体に気づいて、自分の甘々だった考えを改めたのは、次のエンタメを観たからだ。




「明日のたりないふたり」


「たりないふたり」というユニットをご存知だろうか。オードリーの若林正恭さんと南海キャンディーズの山里亮太さんによる漫才ユニットだ。

Huluで観れるのでこちらも是非。

「明日のたりないふたり」とは、そんな二人の解散ライブです。

僕は、この2人に惹かれるのは、憧れるのは、「たりない」を優しく受け止めてくれて、自

たりない自分達が嫌で、たりないところを埋めて、たりてる側へ行きたかった二人。

たりないことを武器に、芸能界で戦ってきた二人。

たりてますよね?と見られる二人。

たりてる側へ、擬態しようとする二人。

たりないままで、たりてない自分の武器を磨き続ける二人。

たりないから手に入れられたものに目を向けるようになった二人。


たりないを克服しようとして努力したり、たりないを武器にするためにさらに磨き上げたり、たりないをお守りのようにぎゅっと握り締め続けたり、たりないことに深く傷つけられたりしたからこそ、

ふたりはたりないままの自分を肯定し、たりないままの自分でこれからも戦っていくんだという覚悟と、それを可能にする武器を手に入れられた。


ちょっとすごすぎて感想を書くことも憚っていたけど、とにかくこんなことを感じた2時間でした。





自分が持ってるものだけで突き進む…?


僕は、自分の就職活動があったから、あとの二つに挙げたエンタメを今回記したようなかたちで感じ取らことができたんだと思う。


良くも悪くも、自分に期待せず、あきらめることができるようになった。これが就職活動においていちばんの収穫かもしれない。

人間、どうしてもできないことってある。そもそも、その分野のエンジンを積んでないことってある。エンジンがないのに、どんだけ高い部品買ってきたり、いい油さしたりしても、そこの分野のパーツは稼働しませんよっていうことを身をもって体感できた。

自分が持ってるエンジン、特にその中でも質の良いエンジンを把握して、そのエンジンに合う部品とか油を集めていくこと。これが、いわゆる自分の得意を活かすことなのかなと。


就職活動が終わった時は、

「じゃあもうこのエンジンだけを信じて、このエンジンに合う部品だけを購入していきます。」

と思ってた。


いや、それじゃあダメなんだと思う。


でも多分それだけじゃあダメなんだろうなと。そういうことを、ガールズプラネット999と、たりないふたりからは感じ取りました。


これこそが、タイトルの

【自分の持ってるものだけで戦うしかないんだけど、自分の持ってるものだけに満足してしまったらダメだっていう話。】

の全容。


自分の持ってるエンジンのアップデートを日々繰り返すこと。エンジンの最高出力をちょっとずつでもいいから高められるように試してみること。

そして、

動かすのが苦手なエンジンの動かし方にちょっとずつでも慣れていこうとすること。動かなかったエンジンに新しい部品を試してみること。動かないことがわかってても完全に腐ってしまわないように油をさすことはやめないこと。


この二種類のエンジン整備が、「自分の持ってるものに満足しない」ということなんだと思う。


アップデートは目に見えないぐらいの速度でじわじわ進んでいるかもしれないし、動かないエンジンに試してみた部品が他のエンジンの性能を高めるかもしれない。



自分の使えるエンジンしか使えないことはわかってても、

使えるエンジンも使えないエンジンもどちらも整備し続けないと、何も生み出せないし、何にも勝てないし、何も感動させられない。

就職活動の時だって、なんでダメなんだ、次はこうしよう、ここをもっと磨こう、これも苦手だけどやってみようっていう風に整備を続けていたからこそ、一番良い状態で、一番自分の自慢のエンジンを見せられたんだと思う。


ガールズプラネット999の挑戦者たちだって、若林正恭さんだって、山里亮太さんだって、(彼ら、彼女らと自分を並べるのはとてつもなくおこがましいが)エンジンの整備をずっとやめなかった人たちなんだと思う。

だからこそ、スキルのあるなしではない部分の光を手に入れられてたし、自分の「たりない」っていう欠点を武器になるまで磨き続けられたし、僕をはじめとして多くの人に感動を与えられたんだと思う。


今読んで


と、これを書いていたのが大学四年の2月とかです。
(なんで投稿してなかったんだろう)


今改めて読んでも、「自分、割といいこと書いてんじゃん」と思う。

と同時に、自分が書いていることを実際に「する」ことの難しさを、新社会人として毎日毎日感じている。


自分より、

おもしろいやつ、ロジカルなやつ、話すのがうまいやつ、気が利くやつ、努力できるやつ、真面目なやつ、純粋なやつ、人付き合いが上手いやつ、作業効率が高いやつ、、、、

自分より優秀な部分を持った人がいくらでもいる。

「その人たちに負けてたまるか」

そういう思いを持って、張り合えるかどうか。

「明日のたりないふたり」になるのか、それとも、「言い訳ばっかで逃げてばかりの人」になるのか。

瞬間瞬間の選択にかかっているのかもしれない。


使えるエンジンが増えたり、エンジンの馬力が上がったりすることがあると信じて、いろんな部品を試してみようと思います。



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