見出し画像

⑦ マウンティングマウンテンは孤高のファイター

「国際結婚・国際離婚 これから私は”I do what I want!”」の⑦章目

①はじめに はこちら↓↓↓
https://note.com/caco28may/n/nd5a330e83404
②なんでアメリカ? はこちら↓↓↓
https://note.com/caco28may/n/nd5a330e83404#2uF14
③出会いのルール はこちら↓↓↓
https://note.com/caco28may/n/n845408684233
④嫁姑問題問題は万国共通 はこちら↓↓↓
https://note.com/caco28may/n/neabf4f5b01b1
⑤.「みんなと一緒はちょっとイヤ…」はこちら
https://note.com/caco28may/n/n6a8916bd8d2b
⑥涙ぐましい日本人妻たちの努力 はこちら↓↓↓
https://note.com/caco28may/n/ndcd556e50366 

USミリタリーのコミュニティはとても大きいように感じるが世間って案外小さいものだなぁと軍人と結婚してみてから知った。

米軍の兵隊たちは基本的に独身者も既婚者も1か所に2~3年の任期で赴任するが、運良く自分の階級とそのポジションの空きがあり希望するのであれば同じところに5年以上留まる人もいる。世界中にアメリカ軍基地があり、2~3年おきに国内外で異動がある訳だから折角仲良くなっても一生会わないようなこともあれば、行く先々で以前一緒に働いていた人やその家族と再会する確率も非常に多い。

私は退役間近の人と結婚した為、一緒に世界中を転々とする機会がなくてつまらないなぁと思ったものだがそれでもたかだか4年の結婚期間の間に日本からミズーリ州・テキサス州内で2度家が変わったので計3回、そして日本への本帰国の引っ越しを経験し引っ越しとはこんなに体力と気力を消耗するものなのかと身も心もクッタクタになった。

さて、話を戻して。
『類は友を呼ぶ』とはよく言ったもので、軍人のボーイフレンドたちと付き合うようになってから同じような境遇の友達やカップルと知り合うことになり彼らから色々な情報が入ってくる訳だが、その1つに『アメリカ本土に居る日本人妻はとにかく良い人かかなりの変わり者の意地悪かの両極端だから気をつけろ』とよく忠告を受けた。

例えば軍人の世界も階級世界である。日本の自衛隊と同じく入隊したてのペーペーの兵隊から順に昇進してオフィサー・チーフ・キャプテン・ゼネラル・コマンダー等々偉くなっていく。またはアカデミーを卒業し最初からキャリアとして途中のランクの高い階級から入隊する人もいる。

何はともあれ 数ある訓練をこなし、戦地に赴き、救助活動等素晴らしい働きをし、専門知識を磨き、試験に臨み、更に上を目指す者は上官の推薦を得てアカデミーに入り勉強し努力を重ねた結果昇進して行くのだがペーペーからオフィサー以上に上り詰めていくような人はほんの一握り。任期を終え数年で除隊する者も多い。それだけ過酷な仕事なのだろう。

自衛官の皆さんもそうだが命を張って国を守っている訳だから頭が下がる思いだ。中には『この大馬鹿野郎!!!』と蹴り飛ばしてやりたくなるような人格に問題のある者もいるにはいるが、この職業を選択している志は大いに立派である。

もしも自分のパートナーが日々努力をしているのを目の当たりにし昇進していったなら妻として誇りに思い労いたいと思うのは当然である。
周りにも鼻高々でパートナーを尊敬していると伝えるだろう。
それは良い。とても良いことだ。人を褒めるのが苦手な日本人、もっとドンドン褒めようではないか!
が、しかーし!!誇りに思うのとひけらかすのは全く異なる。
努力をしたのは夫なのに何故か自分も偉くなったと思ってしまう妻たちがいる。これはどの職業・あらゆる業界にでもある事なのかもしれないが、マウンティングをとる者がミリタリーの妻たちにも少なくないらしい。

『ねぇ、○○さんの旦那さんはミリタリー何年目?ふーん、6年目なんだぁ。と、言う事はE-5(軍曹)位かな?え??まだE-4(伍長)?えー、昇進遅くない?へぇ~、そっか、ごめんごめ~ん。いやうちは10年目だから似たり寄ったりなんだけどー、E-7(一等軍曹)なんだよねー。そ、この前昇進したの。そっかー、E-4かぁ。ふふふ早く上がれると良いねぇ』などなど勝ち誇った顔と声で。得意満面のドヤ顔で…。

まだ結婚する前に連れていかれた基地内のフードコートだったか何かのイベントだったかで、上記に似たような会話を日本人妻たちの集まりっぽい団体が近くにいた時に耳にした。
聞くところによると幼稚園や保育園のママ友の集まりやその中のボスママ集団のように、ミリタリー妻組織にも日本人・アメリカ人関係なくあるらしく 他人事のように「面倒くさいな…いや、大変そうだな、私は遠慮したいわね」とその時思ったものだ。
妻になって間もなくの頃「妻の会」なるもののお誘いは頂いたが即刻丁重に英語が苦手なフリをしてお断りした。
他に『異国で長いこと暮らしてる私、あなたより色々知っててすごいんだから!そんな事も知らないの?日本に全然帰ってないから私の感覚ってアメリカ人の方が近いのよね。アナタとは違うのよ、フン!』と言うタイプの日本人女性。
幸い、私が初めて仲間に入れてもらった日本人妻たちのコミュニティの中にはそう言ったマウンティングをとる人や意地悪をする人がいなかったお陰で私はのほほんと毎日楽しく過ごすことが出来た。

仲の良い友人はアラバマだかニューメキシコだかの赴任先での日本人妻コミュニティに着任早々マウンティングと強引な勧誘にあい辟易したと言っていたので、私はとてもラッキーだったと言う事だ。

このマウンティングと言う行為、一体全体何が楽しいのだろう?と私にはつくづく疑問だ。人よりも優位に立ちたいと言う承認欲求の塊だろうと言うのは理解出来るのだが、夫の出世はハッキリ言って妻の手柄ではない。そりゃもちろん内助の功で、大変な仕事に就いているパートナーを支えた結果、彼が頑張る事が出来て成果を出したから「妻のお陰」とも言えなくはないが、勉強したり訓練したり戦地に赴いたのは夫本人だしその結果が本人の階級アップなわけでその階級は妻のものではない。
妻も仕事をしていてそこで何らかのポジションについているならそれが彼女の肩書だろうが、専業主婦だった場合彼女には軍曹や曹長と言った肩書はなくただ「誰ダレの奥さん」止まりなのに、そうしたボス風を吹かす人にはそれが通じない。
異国の生活が長いのも夫について色々なところについて行くからであって、自分の意志で動き回っている訳ではないのに何故か『私、すごいんだから』風を吹かす人も謎である。
人のふんどしで相撲をとっちゃダメでしょう・・・
でもこの理屈が通じないんだよなぁ。ハロ~~ウ?ニホンゴワカル~?と聞きたい衝動にかられたこともあるが火に油を注ぐだけなので必死で耐えた。

マウンティングは優位に立ったつもりでも孤独だ。
想像してみて欲しい。常に会話に「自分の方が幸せですよ、あなたより私の方がすごいのよ」アピールを織り交ぜてくる人と話して楽しいか?
うっとおしくないか?
『この人次はどんなマウントをとるんだろう?ワクワク♪』と楽しめる境地にまで行けばほんの少しは面白くなるかもしれないが、最終的にはそのようなマウンテンクライマーと過ごす時間が苦痛に思えてストレスを感じることだろう。
私ならそぉーっと、しれーっとフェイドアウトする。実際今までの人生でも面倒くさそうな時はフェイドアウトしてきた。

最近見たYoutubeのチャンネルに『モモウメ』と言うアニメがあるのだが、それはOLの雑談を面白おかしく紹介したもので、その中にこのマウンティングについてのものがあった。それは一方的なマウンティングではなく幸せ自慢のマウンティング合戦についてのものだったのだが「幸せ自慢をお互いにして、そこでクライマーの頂点に立つものは最終的に孤高になる…もはやアスリートだ!」と言っていて笑った。
極端かもしれないが真意である。

自分を卑下したり周りと比べて落ち込むことはナンセンスだ。
そしてその逆の『幸せで幸せでまいっちんぐ状態』になっても過剰に周りにアピールする必要もない。
もしもだれかに褒められたら素直に喜んで受け入れ幸せだなぁ、有難いなぁと感じていれば良いのだ。わざわざ自分で幸せアピールを口と態度に出し誰かと比較し見下しこき下ろそうとすることは格好悪いし、人と比べて自分の方が幸せだと思おうとするのは寂しい気がする。

見下されている場合や妬まれている場合、例え口に出さずに接していても勘の良い人はなんとなく居心地の悪さや嫌な雰囲気を感じ取るものだ。
ちょっとした目の動き・表情・言葉の端々、それが危機管理なのかもしれないが人はネガティブなものにこそ勘が冴える。
もしもそんな相手に出会ってしまったら逃げるが勝ち。クライマーに付き合ってやる必要はない。
どんなに自分が幸せでウッホウホでもマウンテンクライマーにはならないようにしたいものである。その先には孤高のファイターと言う辛く険しい舞台が待っているのだから。
ちなみに私は実際の登山自体にもあまり魅力を感じない人間なので大丈夫かな~と言う気はしている。

教訓:マウンティングは時間の無駄。孤高のファイターにもその挑戦者にも割く時間は私にはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?