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#58 適応障害の9割が辞めていく原因
このところ、「適応障害」と言われる疾患で仕事を欠勤し、休職する従業員が後を絶たない。
そして残念なことに、この疾患を医師から告げられた社員の内、実に「9割」が職場復帰できずに退職していく。
今日は、「適応障害」とはどんな疾患なのか、原因は何なのか、なぜ9割(=当社の場合)もの人が治癒することなく退職してしまうのかを考えてみたい。
ちなみに僕は医師ではないので、傷病について確定的なことを述べることはできないが、労働基準監督署に届け出ている「第1種衛生管理者」として行っている従業員との面談や、色々な手続きを経験してきて感じたこと等を今日は少し綴ってみたいと思う。
まず、令和6年版の厚生労働白書(P61)には、「適応障害」についてこう記載されている。
適応障害
適応障害は、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に分類される。日常生活の中で起こった出来事や、主に職場や学校などの環境に対して対処が困難である時に、病気や大切な人との離別、人間関係のもつれなど何らかのストレスが原因となり、心身のバランスが崩れて、憂うつな気分、不安感、頭痛、不眠などの様々な症状が出る状態である。こうした症状は、日常生活のなかで誰にでも起こりうる症状であるが、適応障害の場合は、そのストレス原因から通常予想される程度をはるかに超えるものであったり、 仕事や学業、対人関係といった社会生活に支障が生じたりするほどの状態となる。
また、色々なウェブサイトを参考に「適応障害」を纏めてみると、次のとおりである。
1. 職場における適応障害の主な原因
過度な業務量
役職や業務内容の変化
人間関係のトラブル(ハラスメントを含む)
不安定な雇用状態
業績評価や結果へのプレッシャー
2. 職場における適応障害の診断基準
明確な職場のストレス要因が存在すること。
ストレス要因に対して、過度に不安や抑うつなどの感情的反応を示し、それが仕事のパフォーマンスや対人関係に影響を与えていること。
ストレス要因が発生してから3か月以内に症状が現れること。
症状が他の精神疾患によるものではないこと。
ストレスがなくなれば、6か月以内に症状が軽減または消失すること。
3. 適応障害に伴う典型的な症状
職場に対する強い不安感、焦燥感
意欲の低下、やる気の喪失
同僚や上司とのコミュニケーションの回避
頻繁な欠勤、遅刻
衝動的な行動や感情的な爆発
4. 職場での適応障害の治療方法
認知行動療法(CBT)仕事に対する否定的な考え方や反応パターンを修正することに焦点を当てる方法
問題解決療法 仕事のストレス要因に対して具体的な解決策を見つけるための支援を提供し、どのように行動すべきかを考える方法
ストレス管理 呼吸法、リラクゼーション技術、マインドフルネスを用いたストレス軽減の技術を教える方法
職場環境の見直し 仕事量の調整や業務分担の見直しを行い、また、上司や同僚とのコミュニケーションをとること。
薬物療法 強い不安感や抑うつが見られる場合、一時的に抗不安薬や抗うつ薬を使用する場合がある。
当社従業員の場合
次に、「適応障害」の診断書を提出してきた従業員で、面談や電話、メール等で状況のやり取りができた従業員から聴き取った原因と思われる内容は次のとおり。
同僚の○○さんと合わない。これ以上一緒に仕事はできない。
一部の同僚から虐めを受けている。怖い。
責任者からいつも自分だけ注意される。他の人は注意されない。
指定された期日、時間に仕事を終われず、プレッシャーが大きい。
何が原因か自分でもわからない。
頼りにしていた先輩が辞めてしまい、自分で考えて仕事するのが苦痛。
責任を持って仕事をすることが苦痛。
上司の後任として配属されてきた次の上司の指示が曖昧で的確じゃない。
仕事に行かなきゃと思うが身体が言うことをきかない。
休みたいときに休めない。
朝起きれない。
自分だけいつも大変な仕事に回される。平等じゃない。
パワハラ、モラハラを受け、怖い。
これが全てではない。
しかし、うちの会社の従業員で言えば、適応障害になる原因の圧倒的1位は「人間関係」によるものと言えるのではないかと思う。
「人間関係」が原因ではないかと考える場合、そう言った被害を受けたことが事実かどうか確かめるため、名前を挙げた相手や第三者の話を聴いて良いか訊ねると、殆どの人がそれはやめて欲しいと言う。
こう言われると、信じていない訳ではないが、真に正しい原因かどうか判断することは難しいと言わざるを得ない。
そうなると、その原因の改善に深く踏み込まないまま本人を配置転換させるか、相手を配置転換させるかになるが、受け入れる場所や仕事がいつも必ずあるわけではないので、いつも上手くいくわけでもない。
それ以前に、正しい理由を告げずに相手を配置転換させることは、相手が後からその理由を知ったら「不合理な配置転換を強要された」として訴訟に発展する可能性かも知れないし、そもそも配置転換先で新たな被害を起こしてしまうかも知れず、根本的な解決にならない。
このように考えると、配置転換できない(=人間関係がリセット出来ない)場合にどうしても退職と言う選択が多くなってしまうと言えるかも知れない。
しかし、同じような仕事ができる環境を別に用意すると言うのは数万人規模の従業員を抱える大企業や、1つは数人規模だけど同じ形態で多くの店を抱える企業などしか対応は難しいのではないかと思う。
これを読んでくれた方で「こうやったら復職させることができたよ!」と言う会社担当者の方や、「適応障害だったけどこうしたら復職したよ!」と言うご本人がいたら、コメントいただけると嬉しいっす。。
(追記)
うちの会社で復職できた人は勿論いるのですが、その殆どは「配置転換」した従業員です。相手が動くのを待つよりも、「自分が動く選択を前向き早くにできた人」は、回復も早いのかも知れません。。
今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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