#59 モラルハラスメントがなくなれば退職の5割はなくなる
人手不足が激しさを増し、働く人の奪い合いがあちらこちらで起きていますが、何ヶ月も求人してやっと採用でき、教育し、漸く独り立ちさせられると思った矢先に退職届を出されること、ありますよね。。
こういうことが続くと、採用部門に携わる者は所属先の教育や環境が悪かったのではないかと非難し、所属先はもっと採用部門がもっと見極めて採用すべきと非難するなど、社内の関係悪化に発展する可能性もありますよね。
ではなぜ人は退職という手段をとるのか、今日はここにスポットを当ててみたいと思います。
多くの会社では、退職するときは「退職届」の提出を義務としていると思います。テンプレートがある企業もあれば、任意の書き方で提出させる企業もあるでしょう。
何れの方法であっても、一番に確認したいところは「退職理由」ですが、圧倒的多数の方が記入してくるのは「一身上の都合」と言う言葉ではないでしょうか。
家族の介護や、夫の転勤、自身の体調不良など、避けられない理由で退職を選択する人は勿論いるでしょうが、「一身上の都合」と退職理由に書いてある場合、退職を決めた本当の理由がその本人にあるかどうか、周りからはわかりません。
そして、退職を選択した人の半分は、その職場で関わった他人の言動によって、退職を選択せざるを得なくなっているのではないかと言うのが、僕の体感です。
つまり、
直接的な暴力ではなく、言葉や態度によって心理的な圧力や嫌がらせを行なって相手を精神的に追い詰める行為、これをモラルハラスメントと言いますが、それをされたことによって退職せざるを得なかった人が物凄くたくさんいる、それも5割くらいはいるのではないかと言うのが、今まで人事労務に携わってきた僕の経験から感じているところです。
では、モラルハラスメントの具体的な内容を見ていきます。
1. 人格否定・侮辱
相手の人格や能力を否定したり、侮辱したりすることにより、相手の自己評価を著しく低下させ、精神的なダメージを与える。
「お前は本当に無能だ」
「どうしてそんな簡単なこともできないの？」
「お前がいると、みんな迷惑してる」
「お前みたいな奴、誰も必要としてない」
2. 無視や排除
無視したり孤立させることで存在を軽視し、精神的な苦痛を与える。
会話に故意に加えない
グループを作ってその中に入れない
挨拶を無視する
仕事の情報や重要な会話から意図的に排除する
3. 過剰な批判や攻撃的な非難
攻撃的な言動で相手を過度に批判し、何をしても常に否定的なフィードバックを与えることで相手を無力感に陥れる。
「またミスしたのか？本当に使えない奴だな」
「誰かお前をまともに教えたのか？馬鹿にしか見えない」
「お前がいると全てが台無しになる」
4. 脅迫や威圧
直接的であれ、暗示的であれ、相手に恐怖を与える発言や行動により心理的に大きなプレッシャーを与える。
「俺に逆らったら、何が起こるか覚悟しとけ」
「お前なんか簡単にクビにできるんだぞ」
「これ以上ミスしたらどうなるか分かってるよな？」
5. 過干渉や支配的な言動
相手の意思や行動を過度にコントロールし、支配しようとする言動。相手は自主性を奪われ、自分では何もできないという無力感を感じさせられる。
「俺の言うとおりにしておけば良いんだ」
「お前は一人じゃ何もできない」
「お前が勝手に決めて良いと誰が言った、全部俺が決める」
6. 他人との比較
相手を他の人と繰り返し比較し、劣等感を植え付ける。
「あいつはできるのに、お前はなんでできないんだ？」
「他の人はもっと頑張ってるぞ」
「あの人に比べて、お前は全然ダメだ」
7. 過度の要求や無理な指示
不可能な目標を押し付けたり、過度な業務を強制する。
「明日までにこれ全部やれ。できなければお前の責任だ」
「残業してでも終わらせろ。それが仕事だろ」
「無理なんて言うな。できないなら無能ってことだ」
8. プライベートや個人情報の攻撃
プライベートな内容や個人の情報を攻撃材料に使う。
「お前の家族もお前のこと嫌ってるんだろ？」
「結婚もできない奴が、仕事もうまくいくわけない」
「お前の過去を知ってるぞ。黙ってたほうがいいんじゃないか？」
9. 虚偽の情報や噂の流布
相手について事実でないことを広めたり、虚偽の噂を流すこと。
「あいつ、こんな悪いことしてたんだってよ」
「あの人、本当は仕事できないらしいよ」
「みんな、お前のことを嫌ってるぞ」
10. 意図的に仕事や役割を与えない
意図的に役割や業務を与えないことで孤立させる。
重要な会議やプロジェクトから外す
指示を与えず、無視し続ける
形式的な仕事だけを与え、やりがいのある仕事を任せない
いかがでしょうか。
もしかしたら、こういうことを「言われたり」「されたりした」ことがある人がいるかもしれません。
逆に、「言ったこと」や「したことがある」人がいるかもしれません。
このような言動で、退職してしまう人がこれ以上増えないようにするにはどうしたら良いか・・・
今後の課題としたいと思います。
今日も最後まで読んでいただき、
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